現在位置:asahi.com>暮らし>コラム>私のミカタ> 記事 「贈りもの」のある生活2008年05月07日 株式会社イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木 かをり 受け取るのは苦手 個人的な話をすると、私は今まで、どちらかというと人からモノを贈られたり、サービスを受けたりするのが苦手だった。そもそも、そういう機会に恵まれたことがなかったから、ただ慣れていなかったのかもしれないが、何かいただくことがあると、なぜそんなことをしてくれるのだろう、私は何を返して差し上げれば良いのだろうと、気になって仕方がなかった。だから、たとえボーイフレンドといえども、モノをもらうのは好きではなかった。しかし贈るのは好きで、10代のころから、様々な友人に、小さなプレゼントやカードをよく贈った。贈ることについては、自分に何も下心がないことが分かっているので、気楽だったし、相手が喜ぶ顔を見るのが好きだった。 慣習への抵抗 私自身、抵抗があったのは、受け取ることだけではなかった。いわゆるお中元、お歳暮といった慣習としてのプレゼント。ほんとうにプレゼントをしたいのかどうかは別にして、そういった時期だからと一斉におくる、ということに抵抗があった。「皆と同じ」ということが苦手な私は、一斉に送られる時期に贈ることで、本当の心が伝わらないのではないかという心配もしていたのかもしれない。だから、会社でも、お中元やお歳暮は、ほとんど贈ったことがない。それが良いのかどうかは分からないが、その時期だけは避けたいとさえ思ったのだ。しかし年齢を重ねると、この慣習に便乗する利点があることも分かってきた。なかなか感謝を伝える機会がもてない相手には、この時期に贈ることで、あまり大げさにならず、抵抗少なく受け取ってもらえる、ということもある。 オーガニックな関係 私が大切にしているのは、オーガニックな人間関係。有機的な、つまり、人と人の体温を感じるような、血の通った人間関係。イー・ウーマンの中では最近「シンプル」+「オーガニック」+「ゴージャス」を意味する「シンプルオーグ」というコンセプトで説明している。そんな、オーガニックな関係をつくったり、保つために、私は、今でも日常的に贈りものもする。モノではないこともあるが、決まった日に贈るというのなら、誕生日だろうか。中学の同級生に、誕生日にプレゼントを贈ったり、時に、手紙だけかもしれないし、メールや電話かもしれないけれど、愛のつまったメッセージを贈る。一番好きなのは、サプライズな贈りもの。何の理由もないけれど、街を歩いていて何かを見たときに、その人を思い出したから買った、というようなモノ。「あなたのことを、いつも覚えています」という私の気持ちの伝え方だ。それは、クラスメートでも、仕事仲間でも、また家族でも。自宅に花を買って帰るとか、子供にクッキーを買って帰るとか、そんなささやかなことも含まれる。 「贈る」という贅沢を楽しみたい 私は、人に贈ることができる自分を、今、楽しんでいる。他人のことに想いを寄せることができることや、感謝の気持ちを伝えようと行動する自分が、気に入っている。もしも、自分のことばかりが気になっていたら、こんな贅沢な気分は味わえない。贈りものをいただく機会も増えてきたが、以前より上手に受け取ることができるようになってきた。素直に感謝し、楽しむことができる自分の成長を、嬉しく思ったりもする。 贈りものが、もっと日常に溶け込んだら素敵だろうと思う。高価なものを買う必要はない。ただ、カードだけでもいいから、相手に感謝の気持ちを伝える、自分の想いを伝えることは、私たちの心の一番のエネルギーになるのかもしれない。
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