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よみがえる青春…ユースホステル じわり中高年に人気

2008年05月02日17時03分

 2段ベッドにミーティング、ペアレント(支配人)が歌うフォークソング……。そんなイメージで知られた若者向けの低料金宿泊施設ユースホステル(YH)で、中高年の利用が徐々に広がっている。若かりしころYHで青春を謳歌(おうか)した世代。若者の利用は減る一方、定年を迎えて時間ができた中高年は、懐かしさも手伝って訪れているようだ。

 「出発です」。4月20日朝、大分県由布市の湯布院カントリーロードYHにペアレントの嘉手川良さん(33)の声が響いた。ギターを手に妻の智美さん(33)と「カントリーロード」を熱唱し、旅人を送り出す。YHならではの光景だ。

 好天に恵まれた4月19日から20日にかけ、同YHでは22人の定員がほぼ埋まった。目立つのは60代を中心とした登山グループのメンバーら。この日は沖縄県と北九州市から計13人が訪れた。

 登山仲間7人と来た沖縄県豊見城市の中村千恵子さん(63)は、40年近く前の学生時代、YHを使って国内旅行を楽しんだ。行く先々のYHで同世代と語らい、思い出を育んだ。「仕事も子育てもリタイアし、ゆっくり旅行できる。YHを使えば旅費も抑えられるし、何より懐かしい」

 那覇市の富川紀美子さん(60)は「色々な人と話せる楽しさがありますよね」と言う。

 日本YH協会によると、会員は、今でいうバックパッカーを指す「カニ族」の言葉が生まれた70年代前半に63万人を超えて以降、減少傾向にある。06年度は7万4811人で往時の9分の1。「個室に慣れている若者は相部屋がだめ」「旅行より携帯電話にお金がかかる」……様々な理由が語られる。各施設は午後10時前後の門限や施設清掃などのルールを見直したが歯止めはかからなかった。

 全体数が減る中で増えているのが中高年の会員だ。04年度から06年度で20代は1万2千人減る一方、50代以上は350人ほど伸びた。全会員に占める割合も10%から13%に。同協会の担当者は「若い頃にYHの全盛期を過ごし、親しんだ世代が定年を迎えるようになった。ここ2年くらい増加が著しい」と話す。

 思わぬ客層にYH側は需要を取り込もうと施設やサービスの拡充に乗り出した。06年には中高年らの個室希望に対応するため、施設を新しく造る際はトイレと洗面所が付いた部屋を最低一つは設けるように規定を改正した。

 YHの象徴でもある2段ベッドをあえて置かないYHも出てきた。福岡市博多区のJR博多駅近くに昨春オープンした福岡YHは、家族向けの和室2部屋を除いてすべてがシングルベッドのツインルーム。ペアレントの内田徹一さん(44)は「こてこてのYHのやり方には若者がよりつかない。変わらないといけないと思った」と説明する。

 関門海峡を眼下に見下ろす山口県下関市の市火の山YHは、3年ほど前に2人用の貸し切り部屋を作った。「今の若者はシェアに慣れていないし、夫妻で来る中高年からの希望が多かった」とペアレントの久保隆司さん(43)。それでも本来のYHが持つ「集う楽しさ」を味わってほしいと、食堂の一角に談話スペースを設けて宿泊者同士の語らいをしかける。

 中高年の増加はうれしいが「やはり若者に来てほしい」というのがペアレントらの願いだ。久保さんらが期待するのは、意外にもこれまでのYHが培ってきた「シェア」の精神。「いずれ他人と何かを分かち合うことを新鮮に感じる世代が出てくる。そしたらYHはまだまだいけるんじゃないか」(山下知子)

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