中国南部からヒマラヤにかけての高地に生息する。科の分類をめぐっては議論が続いているが、日本動物園水族館協会はアライグマの仲間とみる。手足をのぞく体長50〜60センチで、尾の長さは30〜50センチ。体重は3〜6キロになる。寿命は15年近く。尾には通常、褐色のリング模様があり、鼻や口のまわりと耳の先が白いのが特徴だ。
●えさの時間、察知か
「オイラだって立てるんだ」とばかりに、2本足で立つ千葉市動物公園のレッサーパンダ「風太(ふうた)」が、突然の人気に沸いている。
20日も多くの来園者が飼育コーナーを取り囲んだ。立ち姿をひと目見ようと来た人たちだ。
「風太くーん、立ってー」と声がかかる。
人気のきっかけは、東京都内などに配られた19日付の朝日新聞。立ち上がった風太の写真が掲載されると、テレビ各局もニュースで放映。訪れる人が急増し、20日はいつもより千人も多い約4200人がつめかけた。
閉園間近の午後4時すぎ、風太が背筋を伸ばして立ち上がると、「おーっ」という歓声がわき、カメラのシャッターが一斉に切られた。
●来園者が発見
風太は2歳のオス。昨年3月、静岡市の日本平動物園からやってきた。同園によると、風太の父親の風風(ふうふう)も、時折2本足で直立していたらしい。
千葉市動物公園は当初、風太が立つのを知らなかった。24時間見ているわけではないからだ。昨年暮れ、風太の立つ姿を撮影した来園者がホームページで写真を公開していると聞き、初めて立つことに気づいたという。
飼育課長の小林正典さん(54)によると、風太が立つのはえさの時間が多い。「朝9時と昼の1時半、ササの葉などを与えるために職員が獣舎に入ると、そちらの方角に向かってすっと立つことがある」
さらに来園者が大きな声を上げると、「なにごとか?」というように立って見回すこともある。
●中国原産、絶滅の恐れも
日本動物園水族館協会によると、レッサーパンダは日中友好活動が盛んだった80年代に中国から日本各地に贈られて増えた。昨年末現在、国内の52施設で246匹が飼われている。血統登録されているレッサーパンダは世界で約800匹おり(99年末現在)、約3割が日本にいる計算だ。
愛くるしい見た目でペットや毛皮として人気が高く、生息地の中国などで乱獲された。森林開発も進み、いまは絶滅のおそれがあるとして、ワシントン条約で商取引を禁止する対象の付属書1に分類されている。貴重な動物なのだ。
今回の風太人気は、他の動物園にも波及した。
同じ千葉県にある市川市動植物園は、中国からレッサーパンダが贈られたのをきっかけに87年に開園。園のシンボルマークもレッサーパンダだ。
風太の姿が報じられると、「千葉のレッサーパンダみたいに立ちますか?」と、約10件の電話があった。「立ちはするが、あそこまで人間のようには立ちません」。そう説明すると残念そうに切れたという。
それでも2カ所の飼育コーナーでは、「立たないかな」と待ちこがれる人が目立った。飼育係の水品繁和さんは「何にしても、脚光を浴びるのはうれしい。私たちにとって『立つ』こと自体は驚きではなかったけど、あんな風に喜ばれるものなんですね」。
●人間を観察?
29匹を飼育する熱川バナナワニ園(静岡県東伊豆町)も、「立ち姿は珍しくないですよ」。実は同園は約2年前から、レッサーパンダの「立ち姿」のポストカードを販売している。ただし、広報担当の木田裕巳さんも、風太の立ち姿の美しさにはうなる。「ひざが伸びているし、支えもなしに立っている」。同園が撮影した立ち姿は、いずれも背はすらっと直立しているが、腰から下は「しゃがんだ」姿勢だ。
そもそも風太は、なぜ立つのか。そこが話題になっているが、総合地球環境学研究所の教授で、人間と動物の関係に詳しい秋道智彌さんは「われわれが見物している気になっているが、むしろ風太の方が、囲いの外にいる観客を観察しようと、立って見回しているのかもしれない」と話している。
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■過去に話題になった主な動物
1972年 中国からジャイアントパンダのランランとカンカンが贈られ、上野動物園で公開
84年 エリマキトカゲが東京の百貨店で公開展示。テレビCMにも登場して話題に。豪州から友好親善のためコアラ6匹が贈られる
85年 メキシコ産の両生類ウーパールーパーがテレビCMで紹介される
2002年 多摩川などにアゴヒゲアザラシ「タマちゃん」が現れる