第2章 子どもの日常生活
生き生きと育つ子どもたち。そんな彼らの日常生活を、「衣服」「教育」「遊びとおもちゃ」「風俗」の4つのテーマのもと、さまざまな美術品や日常の品々で浮かび上がらせます。
非常に珍しいエジプトの5世紀の衣服やコプト時代の靴を展示するほか、古代エジプトの書字板をはじめ、各時代の練習帳やペン、そして17世紀オランダの画家オスターデが描いた当時のユーモラスな教室風景も紹介。遊びの関係では、古代オリエントの台車にのったライオンとハリネズミが注目を集めそうです。子どもの風俗を描いた絵画、素描、工芸品のなかでも、18世紀フランスの画家シャルダンによる母と子の《食前の祈り》は名作として知られています。
古代オリエント美術部門
《台車にのったライオン》(左)、《台車にのったハリネズミ》(右)
中期エラム時代(前12世紀)石灰岩、瀝青
イラン南西部に位置するスーサを主要都市としたエラム王国は、中期エラム時代(前1500〜前1000年頃)に最盛期を迎えました。これらの可愛らしい動物の小像は、スーサの主神インシュシナクを祀った神殿近くの遺跡から出土したもので、おそらくは奉納品であったと考えられています。とりわけライオンは、エラムの女神ナルンディに付き従う動物であることから、好んで取り上げられたモチィーフでした。
絵画部門
ジャン・シメオン・シャルダン 《食前の祈り》
1740年頃 油彩、カンヴァス
1740年、シャルダンは同年のサロンで好評を博した《食前の祈り》をルイ15世に献呈しました。本作品は、作者自身の手になる別バージョンです。シャルダンは、17世紀オランダで育まれた「食前の祈り」という主題の道徳性や教訓性を受け継ぎつつ、食卓を囲む母と二人の子どもたちの親密な雰囲気に焦点をあてました。18世紀フランスの市民のささやかな日常生活が、静謐な画面にとらえられています。