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デジタルジャーナリズム

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「浅田真央ラストダンス」の裏側

2014-3-28

新聞社ならではの速報性とデジタル技術が融合
大きな反響を得た「ラストダンス」の制作の裏側(1/2)

プロデュース

  • 朝日新聞東京本社
    デジタル編集部
  • 入尾野篤彦

デザイン

  • 朝日新聞東京本社
    報道局デザイン部 次長
  • 寺島隆介

ソチ五輪のフィギュアスケート女子フリーが終了したわずか24時間後、浅田選手に関する記事と写真を印象的なデジタル表現で見せたコンテンツが公開され、大きな反響を呼んだ。「浅田真央 ラストダンス」。ツイッターでは1万以上のツイート、Facebookでは7万5,000以上の「いいね!」を獲得し、ページ閲覧数は公開後3日間で100万を超えた。写真や記事、動画、グラフ、スライドショー、音声などの多様な表現を使って読者を引きつける「イマーシブ(没頭型)・コンテンツ」と呼ばれる手法を、欧米メディアの取り組みにならって導入した。このコンテンツはどのように生まれたのか。朝日新聞東京本社報道局デザイン部の寺島隆介次長とデジタル編集部の入尾野篤彦記者に制作の裏側を聞いた。

フリーの演技終了後
24時間でコンテンツを公開

「ラストダンス」は、3つのパートで構成されている。ソチ五輪での浅田選手の活躍を伝える速報記事「ソチの舞台で」、幼少時からの足跡を示した「笑顔の影に」、バンクーバー五輪後4年間の言葉とソチ五輪での演技を組み合わせた「ラストダンス」。各パートは、視差効果と呼ばれるパララックスという技法が使われ、スクロールすると、画像や動画などのコンテンツが流れるように動きだし、ソチ五輪での浅田選手の演技がよみがえってくるような作りとなっている。

制作当時を振り返る入尾野(左)と寺島(右)

この企画が持ち上がったのは、2013年11月。ソチ五輪の担当となったデジタル編集部の入尾野は、ソチ五輪を集大成としている浅田選手をテーマに独自コンテンツを作ろうと考えた。自然と、コンテンツタイトルには「ラストダンス」が浮かんだ。

入尾野は、ウェブでの表現や技術だけでなく、新聞社としての「速報性」にこだわった。その結果、「限られた時間の中でクオリティの高い文章を出すのが新聞社の強み。それを活かすことが新聞社ならではのデジタルコンテンツだ。ならば、2月22日のフリーの演技が終わってから、できるだけ早くコンテンツを出すことが重要」と考えた。

ページは、ソチ五輪での最新の記事と最新の写真を最初のパートとすることにした。また、ラストダンスという言葉にこだわり、ショートプログラムよりもフリーの演技に力を入れ、より最終演技に近い情報を先に見せるようにした。

できるだけ早く公開できるように、浅田選手の歴史を振り返る2つ目のパートは先に作っておいた。ある程度のフレームを用意して当日の記事や写真をそこに「流し込む」という方法は「新聞と作り方がよく似ている」と入尾野は話す。海外で行われているスポーツなどは特に、夜中に結果が出ることが多いため、新聞ではあらかじめスペースを用意しておくことがある。ラストダンスでも何文字くらいの記事が来るかを記者と確認して、写真の位置なども決めていたという。

線の太さやタッチを変えて何度も書き起こされた線画

表現の上で最もこだわったのは、オープニングの線画のアニメーションだ。真っ白な画面に線画だけが浮かび上がり、何が始まるのだろうかと思わせているうちに、氷上に浅田選手が滑り始める前の姿が現れる。

当初は、浅田選手がトリプルアクセルを跳ぶシーンを実写で表現しようとしたが、IOCの制限でソチ五輪の動画を使えなかった。連続写真で表現しようとしたが、1秒間に使える枚数が5枚であるため、スムーズな回転を表現できなかった。

オープニングの表現が壁にぶつかるなか、担当者の会議で、寺島が「それなら、描きましょうか?」とぽつりと発言した。頭に浮かんだのは、テレビの報道番組「報道ステーション」のオープニングに浮かび上がるイラストだった。「ラストダンスと銘打っているのに、浅田選手の最大の武器を最初に見せてしまうと、読者はそれで満足してしまうのではないか」。何かが始まるという期待感を持たせるためにも演技を開始する前の浅田選手を線画アニメーションで表現したのだという。

「結果的に、オープニングで写真を使うよりも、インパクトがあったと思います。制作にあたって、テレビで浅田選手の演技を見て泣いた人がもう一度感動してくれればと思っていました。実際に、読者の多くは演技が終わった直後にこのコンテンツを見て、脳裏に焼きついていた浅田選手の演技が、線画アニメーションの中に重ねて見えたのではないでしょうか」(入尾野)。

「ラストダンス」画面プリントアウトの数々。

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