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未来メディアプロジェクト 朝日新聞はすべてのひとに意味のあるメディアへ生まれ変わり続けていこうと思います。テクノロジーや世の中の変化とともに進化し、挑戦しています。

メディアラボ賞・防災チーム

プロジェクト名 WEATHER MONSTER
担当記者 黒沢 大陸[編集委員(科学医療)]
赤井 陽介[社会部]

成果物「WEATHER MONSTAR」

 「WEATHER MONSTAR」は子ども向け気象警報学習アプリだ。スマホを振るごとに大雨や洪水、暴風雪などの気象警報をイメージした「モンスターカード」が出てくる。どのカードが出るかは警報が発令された回数を地域ごと月ごとに集計して算出した確率を使い、自分のいる地域でどんなリスクが高いか実感できるようにした。関連の過去の災害の新聞記事もリンクさせた。実際に警報が出たときは、収集した類似カードから過去の新聞記事にある被害などをチェック、大人に伝えて注意を促すという「ミッション」を与える。子どもを対象としたのは、防災教育に役立つこと、子どもの注意喚起が大人の避難行動に結びつくため。あえて数値やグラフを画面に出さず、ゲーム感覚で関心を持たれやすくした。

黒沢記者、赤井記者の提案

2014年2月20日

朝日新聞デジタル動画 1記事用

黒沢 大陸[編集委員(科学医療)]の感想

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 ハッカソンに参加したのは、通常は一緒に仕事することがない社外のエンジニアやデータアナリスト、デザイナーらと共同作業をすることに魅力を感じたからだ。新しい発想や着眼点、そのヒントが得られるのではないかと考えた。事務局から「データを示してまとめてもらうような『発注』にならないように」と注意されたこともあるが、新しい視点を知る貴重な機会なので、成果がうまくまとまらなくても、なるべく誘導しないように心がけた。
 通常の仕事は災害担当として、身の回りのリスクや災害対策の課題の指摘、備えの必要性を訴える記事を書くことが多い。今回、チームのメンバーと話しているうちに、メディアが何回も報道している災害に関する一般的な知識が伝わっていないことを感じた。そこでアイデアソンで決めた方針が、子どもにもわかる災害リスクを伝えるアプリだった。
 当初、漠然とした成果のイメージが二つあった。ひとつは様々な行政機関や研究機関に散在している地震や土砂崩れなどの危険予測地図をとりまとめて、自分の身の回りのリスクが一目でわかるポータルサイト、もう一つはこうした機関が持つリスクのデータを分析して、ニュース性がある新しい特徴を割り出すことだ。
 ところが、わかりやすく示す、ニュースを掘り起こす、という新聞社の常識は、データの存在をチームメンバーに伝えても、関心を持たれなかった。むしろ、問題点として伝えた気象警報体系の複雑さに興味を持たれ、データアナリストたちは過去の地域ごとの気象警報や注意報の分析を始め、デザイナーは警報をモンスターに見立てたキャラクターを考え始めた。それぞれの作業はキャラクターを出現させる確率を各地の警報発生確率にリンクさせるというアイデアで一体化、一気に成果に向けて動き出した。東京での大雪などはレアキャラになり、めったにない非常な事態さを実感してもらうことができる。
 データジャーナリズムと言いながらも、データを使うのはキャラが出てくる確率だから、表面には数字もグラフも地図も出てこない。でも、あえて示さないことで、「こんなこともできた」「これもわかった」というデータ自慢になってしまうことを避けられたと思う。
 アプリの視点は、近年、朝日新聞社内の合言葉となっている「書き手の論理ではなく、読み手の目線で」とも一致する。しかも、その一歩先に進んでいた。モンスターカードは、子どもの目を引くというより、子どもが目を向けている先に回り込む発想だった。これまでの、わかりやすくする、読者の目を引くように工夫する、という考え方は、読み手の論理と言いながらも上から目線だった。振り向かせるのではなく、向いている方向に、自分たちが回り込む、この考え方を意識する必要があることに気づいたのもハッカソンに参加した成果だった。
 今回はできなかったが、当初想定した二つの考え方も、いずれデータジャーナリズムとして取り組んでみたい。
 メディアをとりまく環境が大きく変わったおかげで、20年前の記者だったら経験できない新しい試みに挑戦できる時代になった。いい時代に記者をしていると、ハッカソンに参加して改めて感じた。

赤井 陽介[社会部]の感想

プロフィールはこちら >>

 東日本大震災直後から被災地に入って4カ月。その後、防災担当として被害を減らすために記事を書いてきた。だが、若い世代や社外の人に伝わっているのだろうか。そんな悩みを抱えていた頃、ハッカソン参加の誘いがあり、何かのヒントになるかもと引き受けた。
 今回の参加でまず感じたのは、「どんな相手をターゲットにするか」「どうすれば手にとってもらえるか」からスタートする意義だった。
 複雑怪奇な災害情報の実態をチームメンバーに説明したが、やはりなかなか伝わらない。メンバーからは「『子どもにも伝わる』を目標にしては」との声が上がった。確かに子どもに伝われば大概の人に意味は通じる。興味を持たなければ相手にしてくれない子どもに照準を合わせれば、大人を引きつけるものもできるはず。
 結果、できあがったアプリ「WEATHER MONSTAR」は、情報の複雑さを逆手に取り、地域ごとに起きやすさが変わるという災害の厄介な特性もゲーム要素に活用した。まず「ネタありき」で、その意味や意義を伝えるべく調理する――そんな従来の私たちの進め方では無理な発想だった。
 たった二日間のタッグでここまでできるなら、社を挙げて異文化との連携に取り組めば色々な成果が出るはずだ。「WEATHER MONSTAR」も、きちんと予算をつけて本格的につくり込めば、大化けするかもしれない。利用者のためになり、朝日新聞が存続するための収益にもつながる、そんな取り組みをしてみたい。日々1次情報に接し、その意味や意義を判断する訓練を積んだ記者の利用価値は、そこにもあるはずだ。
 メンバーとの打ち合わせで必要になったことから、期間中にフェイスブックを始めた。終了後も、ツイッターともども日々つまずきながら続けている。様々な属性の相手や情報の受け手と直接つながることが、様々な気づきにつながる予感がするからだ。そんな気持ちになったのも、ハッカソンのおかげなのだろう。

作品紹介


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