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【AERA発マネー】
 
野村、三菱はどう動く 「金融複合体」時代到来
 (2005年2月21日号)


 銀行と証券が融合する「金融複合体」の時代がやってくるという。三井住友+大和の動きに、野村、三菱はどう対抗していくのか。

   ◇      ◇

 05年金融10大ニュース予想のトップに、昨年末、「三井住友フィナンシャルグループ(FG)のコングロマリット化」を挙げた人がいる。日興シティグループ証券のアナリスト・野崎浩成さんだ。

 「銀行の店頭で株や債券の販売が解禁された。流れは総合金融業に向かっている。決断の早い三井住友グループが先頭を切る、と見ていました」

 金融庁は昨年12月、金融規制緩和の一環として、銀行に証券会社の商品を売ることを認めた。あくまでも証券会社が販売を委託するという条件がついているが、窓口で株などが売られるようになった。銀行は商品の品揃えを増やせる、証券会社は販売チャンネルが広がる、消費者は資産運用の選択肢が増え、販売競争でサービスが向上する、という筋書きだ。

 そううまく運ぶかはともかくとして、ライバル関係だった銀行と証券が手を携えて商売する時代になった。

 野崎さんの読み通り、三井住友FGはかねて近い関係にあった大和証券との経営統合に向けて動き出した。

 そこで注目されるのが、証券界トップの野村証券だ。日本を代表する企業の主幹事を手広く押さえ、お金持ちを中心に個人の金融資産をしっかり押さえている。野村がどう動くか、組む相手によって「金融コングロマリット」の版図は大きく塗り変わる。

 支配力か営業基盤か

 「りそな銀行グループを支配下におくか、三菱・UFJグループと組むか、どちらかの選択になる」

 と、金融アナリストの一人は指摘する。

 野村証券は創業者の野村徳七が大阪野村銀行を持っていた。りそな銀行の前身である大和銀行はその流れにある。野村は以前から、「必要になればいつでも大和銀行を引き込める」と見られてきた。

 ただ、大和銀行はあさひ銀行と合併し、近畿大阪銀行を統合してりそなグループになったが、不良債権の重圧にあえぎ、実質国有化された。野村が主導権をとる金融複合体を目指すなら、りそなを傘下に収めるのが早道だが、懸案になっている公的資金の返済を含め「健全化へのコスト」がかさむ恐れがある。しかもメガバンクの複合体に比べ、規模などで「格下」の印象が拭えない。

 りそなを選ぶか、三菱・UFJと組むかは「支配力」か、「営業基盤」かの選択でもある。

 東京三菱とUFJのネットワークを生かせば販路は飛躍的に拡大する。中国をはじめとする国際的な展開もパワーアップする。

 企業が株や社債を発行する際の主幹事業務を押さえることは、証券会社にとって生命線である。銀行と証券が分離されていた時代、野村にとって企業の証券主幹事を取ることはさほど難しくはなかった。だが、銀行と証券が融合すると、風景は変わる。銀行の企業支配力が証券業務に及ぶようになるからだ。

 三井住友が大和証券と一体化すると、三井や住友系の財閥企業が大和証券へ流れる可能性がある。とりわけ野村は三井グループと固い絆があった。三井不動産、東芝など中核企業の主幹事を務めてきたが、これらが大和証券に移れば営業基盤にヒビが入る。

 一方、三菱・UFJグループがどこかの証券会社と組めば、三菱系企業も抱え込まれる。そうなれば野村にとっては悪夢だ。

 幸いにも野村には、三菱と細いながらもパイプがある。

 三菱はかつて日興証券と系列関係にあった。90年代、証券界を揺るがす不祥事が相次ぎ、日興が経営危機に陥った時、東京三菱銀行は積極的には手を差し伸べなかった。日興は米国の金融グループ・トラベラーズに支援を頼み、三菱と「けんか別れ」となった。

 東京三菱は証券戦略の練り直しを迫られ、系列の東京三菱証券などと野村系の国際証券を合併させ三菱証券を発足させた。結果的には日興を切って野村との接点を持つことになった。この絆を互いにたぐり寄せ、三菱東京FGが03年、3600億円の増資をした際には野村が主幹事を務めた。

 もっとも金融関係者の多くは、

 「三菱・UFJと野村が組めば最強の金融複合体になるが、あまりにも企業体質が違う」

 という。体面を重んじ腰の重い三菱と、がむしゃらな営業で伸びてきた野村ではソリが合うはずはない、といわれる。

 「だから今が最後のチャンス」

 という声もある。三菱とUFJが統合する今こそ、野村が割り込めるチャンス、というのだ。関西系の旧三和銀行を主力としたUFJと三菱も企業文化が違う。今のままでは、三菱に牛耳られるだろう。野村にとっては、三菱よりUFJのほうが馴染みやすい。旧三和と野村は古くからつながりがあり、お客の接点も少なくない。2銀行1証券の統合になれば野村は存在感を発揮できる。

 みずほも虎視眈々

 だが、3社統合はみずほFGが演じたように非効率が多い。障害を乗り越えても最強のトライアングルを作る、とハラを固められるリーダーがいるかという点にかかっている。

 そのみずほグループも虎視眈々である。みずほコーポレート銀行は、興銀、富士、第一勧銀がメーンバンクだった大企業を束ね、限りなく証券会社に近い銀行を目指している。三菱と袂を分かった日興と1月に業務提携したばかりだが、野村と組めば体制は盤石だ。

 かつて興銀と野村は証券業務で手を組んだ。日本版ビッグバンが叫ばれていた頃、「外資から日本を守る」というふれ込みでデリバティブや確定拠出型年金(401k)などの分野で業務提携した。銀行・証券を代表して競ってきた興銀・野村がうまく合体すれば最強のコンビと見られていたが、実を結ぶ前に3行統合で提携は雲散霧消した。みずほの統合が一段落した今、興銀の血筋を引くみずほコーポレートと野村が復縁する可能性はゼロとはいえない。

 「銀行離れ」への処方箋

 三井住友FGの総資産は101兆円、大和証券グループの預かり資産40兆円を加えると、みずほFGを抜き三菱UFJ連合に次ぐ資産規模になる。みずほが野村と組めば資産は200兆円を超え、三菱・UFJをしのぐ。三菱・UFJに野村が加われば266兆円と、世界最大級の金融グループになる。

 問題は規模だけではない。銀行には切迫した課題がある。「大企業の銀行離れ」と「預金者の預金離れ」だ。この二つにどう対処するかが問われている。バブル崩壊後、不良債権の処理に追われてきたが、経営再建にめどが立った今、本筋の課題に取り組む体勢ができた。「金融複合体」への挑戦は二つの課題への処方箋でもある。

 日本は戦後、銀行が庶民からカネを集め産業界に供給する仕組みで成長を遂げてきたが、カネが潤沢な社会になると、大企業は株や債券などで市場から資金を直接調達し、銀行に頼らなくなった。大企業が求めているのは、最先端の金融技術や国際分散投資、さらにM&A(合併・買収)へのアドバイスなどだ。これらは証券と密接に結びついたインベストメントバンク(投資銀行)業務と呼ばれ、世界ではゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどが得意とする分野だ。

 一方、資金が豊富になれば金利は下がる。庶民は銀行預金だけでは飽き足らなくなり、より有利で多彩な金融商品を求める。お客の側にも「総合金融サービス」への下地が醸成されている。

 銀行と証券の融合に続き、生命保険や損害保険が金融複合体に参加することになるだろう。保険商品も段階的に銀行の窓口で売れるようになった。保険会社は外交員や代理店など独自の販売チャンネルを持っているが、銀行チャンネルで販売を始める保険会社が遠からず現れるだろう。

 資産運用の規模では銀行、証券を凌駕する日本生命など大手生保がどう立ち回るか。金融再編劇には当分幕が下りそうにない。

 (編集委員 山田厚史) (02/24)




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