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【<コラム>経済気象台】
 
インテグリティー

 「一所懸命」と言う言葉は、鎌倉時代に生まれたとされる。武士は鎌倉幕府に忠誠を誓う見返りに、所領を安堵(あんど)されたからである。「武士の末裔(まつえい)」たるサラリーマンは、会社への忠誠心(ロイヤルティー)の見返りに終身雇用を保証された(少なくともそう信じてきた)。

 米国の企業では四半期ごとに開示する業績が悪化する場合、リストラによる経費削減を併せて発表して、ウォール街の機嫌を取るという習慣が出来てしまったので、社員にロイヤルティーは要求できない。元々忠誠心やロイヤルティーという言葉には、どこか封建的なにおいがすることもあり、米国では企業不祥事の頻発以降インテグリティーという言葉が多用されるようになった。

 インテグリティーを日本語に訳せば、正直、誠実、清廉潔白を混合させたものとなるが、自由な個人としての自尊と、他者や組織との緊張関係が前提にある。そのような個人の集合体としての会社には、営利追及とインテグリティーの葛藤(かっとう)があり、経営者の強欲が勝れば不正会計から破綻(はたん)に到り、インテグリティーが勝ればエクセレントカンパニーへの道につながる。

 我が国ではこのところ、名門企業の現場で事故や不祥事が頻発している。生き残りのために、社員のリストラや給与カット、成果主義と称する自己責任への転化によって、ロイヤルティーは大企業でも死語となり、一方でそれに代わる行動規範をもてないことが理由なのであろう。

 その証拠に不祥事を起こした企業の多くでは、相変わらず経営者の顔が見えない。いまだに生きながらえて日本経済の足を引っ張るゾンビ企業は別にして、リストラを終えて復活を図る企業の経営者は、社員に規範や倫理を要求する以前に、自らインテグリティーの範を示す必要がある。さもなければ、社員に背かれ、消費者に嫌われ、ひいては投資家に見すてられる時代が来ている。(六菖) (12/11)




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