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【〈コラム〉経済気象台】
 
「介入しない」という卓見

 円相場は、最近3年間で1ドル=130円前後から現在の100円台前半まで切り上がっている。この傾向を断固として阻止するために、政府は昨年初めから今年の春まで35兆円に達する巨額の円売り・ドル買い介入を行った。その結果、外貨準備高は円換算で60兆円弱から90兆円へと大きく増加した。この中身は米国国債が中心である。

 その後も円高傾向は続いているが、介入は今年の3月を最後になされておらず、外貨準備高は直近ではほとんど増えていない。

 介入ゼロの月が8カ月も続いていること、また大きな節目である1ドル=100円突破をうかがうような円高・ドル安の勢いを止めて輸出採算の悪化を阻止するために、介入への期待が高まっている。これまでなら、政府が期待に応えてさっそうと登場して介入を行い、円安に振ってきたものだ。しかし今回は、動く気配がみられない。

 現在の円高・ドル安傾向は、米国の財政赤字と経常収支赤字に端を発するドル不安に根ざしている。米国内でもこのところ急速に「双子の赤字」を心配する声があがり始めている。その一方で、米国政府にそれほどあわてている様子はみられない。それは、ドル暴落のような最悪の事態が予想される場合、外貨準備として外国の政府が保有しているドルについては、「売らないで欲しい」と政府間で交渉できるからである。すなわち、日本を含め外国政府が保有している米国債は、売却されないよう「塩漬け」になるということだ。

 そのあたりの動きを察しているのか、日本政府はいま以上の外貨準備の積み増しは控えざるをえないようだ。問題は、90兆円に達している外貨準備を、塩漬けになる前に、いかにして円あるいは他の通貨に換えられるかである。実際に、中国やロシア政府はドルをユーロに交換しているといううわさもある。日本政府の次の行動に、世界中の視線が集まっている。(岳)

(12/02)




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