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【〈コラム〉経済気象台】
 
和製スピッツァー待望論

 米国でのスピッツァー旋風はとどまるところを知らない。エリオット・スピッツァー氏はニューヨーク州の司法長官である。州の司法長官は公選制なので、スピッツァー氏は政治家である。従って彼の行動は政治的野心から出たものだが、それでも既得権益者には恐怖を、一般市民には希望を与えるものである。

 スピッツァー氏の腐敗追及は広範囲で目覚しいものであるが、特に金融業界での不正慣行の摘発が顕著である。例えば、(1)証券アナリストの利害相反(2)投資信託業者とヘッジファンドの違法取引(3)保険ブローカーと保険会社の不正キックバック(4)保険会社の損失繰り延べ(とばし)商品販売(5)ニューヨーク証取委員長の高額報酬等々である。

 摘発された犯罪は、消費者や投資家・顧客の利益を代弁すべき業者やその従業員が長年にわたり不正取引を繰り返し、巨額の利益を得てきたものである。また、いずれもが取引慣行として業界では周知の黙認事項となっていたものである。

 彼の手法は、各州の司法長官と連携し、明白な証拠固めによって連邦機関たるSECやFBIなども同調せざるを得ないような手堅いものである。翻って我が国では、法執行をする警察自体が組織的としか言いようのない裏金作りに励み、検察は自民党橋本派への1億円献金疑惑でも深層に迫ろうとしない。

 日本経済はバブル後の長いトンネルを抜け出そうとしているが、談合や利権に寄りかかる官民の体質が変化したとは見えず、社会保険庁・道路公団・郵政の改革を見れば、またしても官の焼け太りとしか思えない。「改革なくして成長なし」と唱えて政治的野心を果たした小泉氏も、結局は言辞を弄(ろう)するだけの首相で終わる。

 昨今、憲法改定論議が盛り上がっているが、和製スピッツァーの一人も出ず、市民の権利意識が希薄な現状のままでは、歴史の歯車を逆転させる結果となる。(六菖) (12/20)




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