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【〈コラム〉経済気象台】
 
読み書き算術能力の退化

 OECD(経済協力開発機構)によれば、日本の15歳の読解力、数学応用力などの学力が落ち込みつつあるという。つまり、読み書き算術が出来なくなってきたのだ。日本は江戸時代から寺子屋が発達し、読み書き算術が普及していた。これが明治以降の急速な経済発展の基礎だったが、文化の爛熟(らんじゅく)に伴い、その能力が退化しつつあるわけだ。

 私も大学で教えているが、文章が書けない、字が書けない、言葉がしゃべれない、計算が出来ない姿が、目に余ってきた。レポートは、インターネットでキーワードを検索し、ダウンロード、印刷で出来上がり。かつては学生が頭を振り絞って書いた形跡があり、心を打たれたものだが、今はまれだ。技術進歩で能力が退化する、典型例だろう。

 言葉はケータイに制圧され、まともにしゃべれなくなった。刹那(せつな)的、断片的、自己都合的で、自分の人間像を見せない。ワンフレーズ首相の影響も大だ。

 算術は、小数、分数、割り算が出てきたらお手上げ。マクロ経済学では、乗数効果として「1マイナス限界消費性向分の1」を計算するが、式をたてても計算で立ち往生だ。

 OECDによれば、読解力が落ちたのは、下位の生徒の成績がガタ落ちしたためで、上位の成績は変わらない。学力の二極分化は、就職組とフリーター組の分化にもつながる。

 世界をみると、読解力では、米、独、仏が日本と同グループで低迷し、数学では日本よりずっと下だ。英国は回答率が低く公表されなかったが、英エコノミスト誌によれば、やはり低迷グループに属する。

 大国の読み書き算術能力が退化すると、何が起こるか? 大国では一部のエリートが、単純な言葉で大衆の人気取りに専念し、権力に居座る。良識ある小国は、愚かな大国に振り回されながら慨嘆する。とすれば、これはすでに起きているのではないか?(曙光)

(12/21)




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