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企業の経営であれ、政府の経済政策運営であれ、組織体のあらゆる行動は基本方針の決定と、その執行の二つの要素から成り立つ。
企業の場合、前者は取締役会の責任であり、後者はCEO以下の執行役員、職員が担っている。政府の経済政策の場合、基本方針の最終的な決定は国会の責任であるが、基本方針の案を決定するのは政府であり各官庁である。例えば、租税政策の場合、主税局が基本方針を決定し、国税庁が執行に当たる。社会保険の場合は、厚生労働省が決定を、社会保険庁が執行を担当している。決定と執行に当たる二つの組織の緊張関係は経済や社会の発展にとって必要なものである。
ただ、現実には決定と執行の区分は明確ではない。実務知識・感覚に裏打ちされた判断材料が執行部門から適切に提供されないと、正しい意思決定はできない。かと言って、決定の責任者が細部の事情を知ることに汲々(きゅうきゅう)とすると、大局観を見失い、必要な戦略の転換に失敗する危険もある。また、決定に当たる「偉い人たち」に細部の情報を正確に伝え理解を得ることにはコストが伴う。場合によっては、専門的知識を有した職員のモラールが低下して人材を集めることが難しくなったり、意思決定自体が遅れるリスクも存在する。
最近、社会保険庁の改革や公的債務管理庁の創設が議論されているが、同様の問題は、公的部門のあらゆる活動に存在する。日本の公的部門における決定部門と執行部門の関係は、前者による「抱え込み」か、後者への「丸投げ」が多かったが、さらに、そのどちらであるかも明確でない最悪ケースも少なくなかった。
経済政策を適切に運営するとともに、公的部門の生産性の上昇を目指すのであれば、決定と執行の制度設計は日本にとって避けて通れない重要な課題である。一律の答えはないが、個別分野ごとに実態に応じて、望ましい制度設計を考えていく必要がある。(薫風)
(01/18)
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