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【〈コラム〉経済気象台】
 
希望に燃えない旅立ち

 昨年よりもほぼ1カ月早く、大学生の就職戦線は真っ盛り。会社訪問、会社説明会、そしてエントリーシートの受付。3年生は期末試験と重なって、走り回る毎日だ。

 大学側としては、3年の前期までの成績や勉強で学生を評価されては困る、といった気分があるのだが、多くの企業の採用条件は人物・人柄と、どのレベルの大学に合格したかで十分のようだ。「出身校を問わない」などというのはまだ例外である。

 03年、04年と比べて様変わりしたのは、企業の採用意欲だ。特に金融は旺盛だ。企業訪問を受け付けて「これは」と目を付けたら、すぐに若手の社員を説明役として紹介する。

 もちろん、学生の方も情報集めに熱心だ。信用金庫や地銀選びに、経済週刊誌による、自己資本比率や不良債権額などを基準とする経営状況ランキングの検討にぬかりない。それと大切なのは先輩たちの体験談。

 学校側の指導の基本は「正社員になれ」が基本だが、失敗するタイプはかなり共通する。四つか五つの企業にはねられて「自分はどこにも受け入れられないのではないか」と思ってしまうのである。それに対して、何十という企業から門を閉ざされてもチャレンジし続ける学生はなんとかなるものだ。

 さて問題は社会に出た後である。正社員の世界も楽ではない。人手はいつも不足しており、週労働時間が60時間はザラである。残業手当も月に20時間とか25時間で頭打ちが普通だ。しかし臨時職員や契約社員あるいは派遣からの正社員への転換はどれほど難しいことか。

 高度成長もバブルも知らず、「終身雇用の時代ではない」と言い聞かされて育ってきた現代の若者にとって、社会への旅立ちは希望に燃えるものではない。自分たちは起業もせず、長期雇用の中にあり、それでいて若者たちに、鶏口となれ、と語るのはいささか苦いものである。(紙つぶて)

(01/21)




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