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欧州を歴訪したブッシュ米大統領の“新外交”に対する欧州各国の対応は、米国だけが唯一の軍事超大国という世界における外交の構図を示している。
米国がイラクに手を焼いている間、欧州連合(EU)諸国は経済権益の拡張を着々と進めている。東欧諸国のEU加盟に続いて旧ソ連圏のウクライナに西欧よりの政権が誕生した。トルコのEU加盟促進でイスラム世界への足がかりができる。
歴史的にイラクと関係が近いフランスはシリアとの経済協力を深め、原油価格高騰を背景に、英、独、仏そろってイランの世界貿易機関(WTO)加盟支持を打ち出している。中国への武器輸出解禁を実現し、エアバスA380の売り込みや新幹線建設参入の突破口にしようと欧州首脳たちの北京詣でが続いている。
こうした動きは、一歩間違えば米国と衝突しかねない懸念をはらんでいる。ブッシュ大統領は就任演説でイラクの次はイランといわんばかりにイランの核開発計画阻止を叫び、シリアも要注意専制的国家として名指ししたばかりである。対中武器輸出の解禁も米国は極東の軍事バランスを崩すと懸念している。
ブッシュ訪欧はイラク戦争をめぐり亀裂の生じた米欧関係の修復外交といわれたが、客観的な状況は何一つ変わっていない。ブッシュ大統領が「自由を広げる」政策に欧州を同調させ、中東、中国への接近を牽制(けんせい)し、イラク復興支援の分担を引き出すため仲直りを演出して欧州抱き込み外交を展開すれば、EU諸国は、米国に和解の姿勢を見せることで、EUの経済的覇権を広げる障害を除こうと米国抱き込みを図る。
と同時に、両者は国際政治経済の舞台で力の外交を進める米国が「悪玉」、柔軟外交路線のEU諸国は「善玉」を演じて見せながら大西洋同盟の目的を達成する役割分担も演出してみせる。「算盤(そろばん)で錠があく」。計算には不思議な力がある。それが現実外交の強みなのだろう。(昴)
(03/07)
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