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大手銀行がシンジケートローン(協調融資)の対象を中堅・中小企業に広げている。伸び悩む中堅・中小企業への貸し出しを拡大するとともに、貸し倒れリスクを分散できるメリットがあるからだ。単独では融資枠を増やしにくい中堅・中小企業にとっても、短期間でまとまった資金を低コストで調達できるため、需要が高まっている。銀行全体の貸出残高が減少を続けるなか、大手行は融資の仕掛け作りに知恵をしぼっている。
●高い需要、リスク分散
銀行の中小企業向け貸し出しは減少を続けている。日本銀行によると、02年前半までは200兆円を超えていたが、04年9月には約176兆円とこの2年で約30兆円も落ち込んでいる。
98、99年の銀行への公的資金注入では、中小企業を中心とした貸し渋り対策が強調された。公的資金注入行には中小企業向け融資を経営健全化計画に盛り込むことが義務づけられ、計画を大幅に下回った銀行は業務改善命令を受ける。
各行は中小企業向け融資を伸ばそうと取り組んでいるが、これまでのように単独で融資を実行すれば、貸し倒れリスクが増してしまう。この「二律背反」を解消するのが協調融資というわけだ。
日本銀行が四半期ごとに行っている貸出債権市場取引動向調査によると、国内の協調融資組成件数に占める中堅・中小企業を中心とする非公開企業の割合は、03年4〜6月は33・7%だったが、同10〜12月には5割を超え、04年7〜9月には61・6%に達した。日銀は「すそ野が広がってきた」(金融市場局)とみている。
●集客の仕掛け次々
スポーツクラブを運営する東祥(愛知県安城市)は今年4月、協調融資に参加する金融機関の担当者を対象にした説明会「バンクミーティング」を開いた。
東祥は、来年度中に6カ所予定しているスポーツクラブの新規出店費用への協調融資を要請。当初目標の2倍にあたる40億円の融資希望が寄せられ、8月末に15金融機関と上限26億円、無担保無保証の融資契約を結んだ。同社の財務担当者は「中期的な出店構想に対してまとまった資金枠を確保できたのは大きい」と喜ぶ。
バンクミーティングを同社と共同で開いたのは、三井住友銀行。中堅・中小を中心とした非公開企業への協調融資で3割以上のシェアを占める同行は、バンクミーティングを活用した融資組成に力を入れる。同行が、融資希望企業と共催したバンクミーティングは04年度上半期までの累計で100回を超えた。
協調融資全体で4割のシェアを占めるみずほフィナンシャルグループは、中堅・中小企業などへの融資は主にみずほ銀行が担当する。同行は、中間法人や特定目的会社を活用し、中堅・中小企業向けの協調融資に取り組み始めた。
事業単位で融資するノンリコースローン(非遡及(そきゅう)型融資)の手法で、不動産管理会社の武蔵商事(東京都杉並区)が手がけるJR荻窪駅北口のマンション事業を対象に、24億円の融資を実行した。武蔵商事は売上高が13億円程度で、通常の融資では過剰債務になる可能性がある。このため、間に中間法人と特定目的会社を入れる手法を取った。
中間法人を経由して出資する形を取ることで、リスクを切り離すことができるからだ。
今回の融資はみずほ銀行単独だったが、同行はこの手法を協調融資を前提として開発した。同行は「債務が多い中堅・中小企業でも融資が可能。これを先行例として他の金融機関に提案し、シンジケートローンを拡大していきたい」(ビジネスソリューション部)という。
4大銀行のなかで貸出残高を唯一伸ばしている東京三菱銀行は、今年4〜9月に組成した協調融資200件弱のうち、半数が中堅・中小企業向けだった。
(12/04)
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