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16日に発表された04年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報では、景気停滞が浮き彫りになる半面で、懸案のデフレ脱却にやや明るい兆しが見えた。経済全体の物価下落幅が縮小。景気の実感に近い名目成長率が、2四半期連続で実質成長率を上回った。世界的に需要が膨らむ鉄鋼など、素材部門の価格上昇の波及はさらに進むとの見方も広がる。しかし、家計消費が力強さを欠く限り、一直線に脱デフレとはいかないとの指摘も根強く、見方は割れている。
経済全体の物価水準を示す「GDPデフレーター」は前年同期と比べ0.3%低下。前年比マイナスは98年4〜6月期から続くが、下落幅は最小。国内需要だけをみれば、0.1%上昇と約7年ぶりにプラスに転じた。
物価が上がる経済では、実際の取引額で計った名目GDPの伸びが、物価変動の影響を除いた実質GDP成長率を上回る。しかし、物価下落が続くデフレに落ち込んだ日本経済では、実質が名目を上回る「名実逆転」が定着していた。ここに来て、前年同期比では物価下落は続いているものの、前期比では上昇し、名目が実質を上回った。2期連続の逆転解消は95年以来9年ぶり。竹中経済財政担当相は16日、「克服に向けた動きも続いている」と述べた。
価格上昇傾向が強いのは、素材や原料、それを加工した中間財部門だ。
住友金属工業の鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)はいま、「緊急トラック」でごった返している。通常の船積みでは需要に出荷が追いつかず、割高なトラックを使い輸送時間を短縮するためだ。04年度の国内の粗鋼生産量は、高度成長期に次ぐ史上3位の見通し。「世界同時好況という異例の事態」(三村明夫・新日本製鉄社長)の恩恵を受けている。
鉄鉱石や石炭なども値上がりしたが、鉄鋼各社はメーカー向けの販売価格を上げてこれをのみ込み、軒並み史上最高の利益を計上する見通しだ。石油化学業界にも同様の動きが拡大している。
脱デフレと景気回復が重なれば、90年代来の長期停滞に区切りがつく可能性はある。だが、消費者と向き合う業界の見方は厳しい。
「海外では車の値上げを検討する。でも、国内はとてもそんな状況じゃない」(雨宮高一・ホンダ副社長)。04年の国内の新車販売台数(軽自動車を除く)は前年比1.6%減。鋼板値上げにはコスト削減で対応するメーカーが多い。
家庭用品業界では、ライオンが04年12月期に3期ぶりに赤字に転じた。容器に使うプラスチックなどの価格が上がる一方、主力製品の単価は3%近く下落したからだ。01年から断続的に早期退職を実施するなど、デフレ下の光景が続く。
デフレ脱却まで金融緩和を続けることを掲げる日本銀行も、いまのところ物価動向には慎重な見方だ。政策判断の基準となる消費者物価指数は依然下落しており、デフレーターの下落幅縮小だけで緩和姿勢を変えるとは考えにくい。ただ、日銀がこれまでとってきた政策手法は、金融機関の資金需要が減る中で行き詰まりも見せている。デフレが再び悪化しないうちに、景気回復が力強さを取り戻せれば、局面が変わる可能性もある。
(02/17)
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