asahi.com
天気  辞書  地図  サイト案内  アクセスTop30 
サイト内検索:
マネー 社 会 スポーツ 経 済 政 治 国 際 サイエンス 文化・芸能 ENGLISH 
  >視点  >市況  >悩み  >株主優待  >情報ファイル  >年金解剖学  >経済気象台  >経済を読む  >AERA発  ><解説>マネー  >投資信託   
 
 
 
 home >マネー ><特集>年金解剖学 >401k導入ドキュメント   

   <特集>年金解剖学  
【401k導入ドキュメント】
 
日商岩井(4)20年の差を実感した米国出張

 米国マサチューセッツ州ボストン郊外にある、フィデリティ(FIRSCo=Fidelity Institutional Retirement Services Company)が運営する確定拠出年金401kの加入者照会センター(コールセンター)。約200人のオペレーターが頭に電話のレシーバーをつけ、パソコン画面とにらめっこしつつ顧客からの問い合わせにテキパキと答えていく。ディスプレーには、年金制度の概要だけでなく、株式投資に関連して各銘柄のリアルタイム株価や配当情報がいくつもの画面に次々に映し出されていく。さらに目を引くのが、中央にある管理者席のボードだ。顧客がかけてくる電話の待ち時間が表示され、20秒を超えると色が変わる。このセンターの大原則は「問い合わせのピーク時でも90%の電話を20秒以内の待ち時間でオペレーターが対応する」ことだ。20秒以上呼び続けてもオペレーターが出ないと、顧客の満足度が急速に下がるからだという。問い合わせが増えてこの原則が守れない場合は、他のコールセンターに電話を回し、待ち時間を減らす。

 日商岩井社内で年金改革の論議を本格的に始める前年の2000年夏、日商岩井厚生年金基金(当時)の田中孝具(たかとも)さんが米国出張で出合った忘れられない光景だ。「401kの加入者のために至れり尽くせりの環境が用意されている。資産運用に対する意識のあり方で、日米では20年の開きがあると感じた」

 米国における年金資産の運用の現状を視察するための出張で、ニューヨークにある邦銀の海外支店のほか、米国の資産運用機関や、有価証券の保管・決済から利子・配当の受け取り、会計・運用報告まで年金資産を一元管理するマスタートラストと呼ばれる金融機関まで1週間の駆け足で回った。

 厚生年金基金で840億円の年金資産を運用していた運用課長を務める田中さんは、米国の運用機関の投資哲学や、年金資産のリスク管理に対する考え方に日本との違いを痛感させられたが、それ以上に目をみはる思いをさせられたのが、401kに対する企業、従業員、運用機関の意識の高さだった。

 従業員の上乗せ拠出が認められ、自助努力の色彩が濃い米国の401kは、より多くの従業員を加入させるためにも、投資教育で掛け金の所得控除による節税効果が強調される。ビデオやビジュアルな教材を駆使して「401kに拠出すれば、こんなに税金が減る」と説明される。分かりやすい教材が数多く用意され、電話一本でオペレーターが投資教育もしてくれるし、自分の年金資産の状況は、インターネットでも情報提供される。

 こうした、運営管理機関が提供する充実した投資教育や高品質な管理サービスは、401kを導入した企業が支払う膨大な手数料に支えられている。質の高い制度を提供するには相応の出費を覚悟しなくてはいけない。「サービスの対価としてお金を支払う意識が低い日本に、投資教育や資産管理などサービスの集大成である確定拠出年金を導入してうまくいくのだろうか」と田中さんは感じた。

 出張当時の日本は、秋の国会に確定拠出年金の法案審議が先送りされ、日本版401kがどういう制度になるのかがはっきりしていない段階だった。一方で、基金での業務を通じて、企業が年金の積み立て不足をどう穴埋めしようかと四苦八苦している割には、従業員の年金制度に対する理解が乏しいことを身に沁みて感じさせられていた。

 確定拠出年金を導入することで、年金制度を「目に見える形」にし、年金は従業員自身の問題なのだと理解させることの意義を米国に出張してみて改めて感じた。翌年に確定拠出年金導入でてんてこ舞いの日々を送ることになるとは予想もしていなかったが、基金解散・確定拠出年金へ全面移行というドラマは、日米の20年の開きを感じた米国出張がその伏線となった。 (05/09)




  401k導入ドキュメント これまでの記事     一覧>> 



株価検索




| 社会 | スポーツ | 経済 | 政治 | 国際 | サイエンス | 文化・芸能 | ENGLISH |
GoToHome ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。 GoUpToThisPage
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 著作権 | リンク | プライバシー | 広告掲載と注意点 | アサヒ・コムから | 朝日新聞社から | 問い合わせ |
Copyright Asahi Shimbun. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission