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自営業者や学生などが加入する国民年金の02年度の保険料納付率が発表され、4割近くが保険料を払っていない実態が明らかになりました。背景には制度への不信感があります。その中には、「払った保険料に見合う年金がもらえない」という不信のほか、会社員の厚生年金や公務員などの共済年金との格差に不満を感じているケースもあるようです。
●自営業者「不利」と怒り
九州地方で小売店を営む男性(63)は2年前から、息子の妻の国民年金保険料を支払うのをやめた。きっかけは新聞記事。公務員や会社員の配偶者は年収130万円未満なら、保険料を納めなくても満額の国民年金を受給できると知った。
図書館に通い、年金制度を調べた。自営業の妻は、専業主婦であっても毎月1万3300円の保険料を40年間納めなければ年金を満額もらえない。公務員や会社員の妻は子どもがいなくても遺族年金を受給できるが、自営業者はできない。しかも夫は妻の遺族基礎年金を受給できない。
制度を知るほど、格差に怒りが沸いた。「男女不平等でもある。こんな制度で保険料を払う必要はない」。滞納ではなく、保険料の全額免除を申請することにした。店の売り上げは毎年20%ずつ減少し、経済的にも苦しかった。
02年4月、社会保険事務所で手続きをした。店で働く息子の妻の年間所得は13万円。免除基準だった。息子と世帯主である自分の所得まで調べられた末、却下された。男性と息子の所得が基準を上回っていたためだ。制度は世帯単位になっており、保険料は連帯して納める義務がある、というのが理由だ。
今月、男性は社会保険審査会に不服を申し立てた。意見陳述を求められた男性は社会保険庁を訪れ、審査会委員を前に訴えた。「国民年金の1号被保険者が不利にならないような年金改革がない限り、払いません」
●徴収側も感じる不公平
保険料を徴収する人も疑問を感じている。社会保険事務所のある職員は、保険料の負担を減らそうと厚生年金から脱退する会社が増えているのに十分な対策をとらない一方で、国民年金で強制徴収しようとすることに矛盾を感じるという。「脱退後は国民年金に加入するから、しわ寄せは増す。厚生年金も強制適用すべきだ」と話す。
神奈川県内で国民年金推進員として働く女性は、未納者を戸別訪問して納付を促し、収入が少ない場合は免除を勧める。しかし、申請しても世帯主などの所得が免除基準を上回り、却下されることも少なくない。「国民年金の免除の時だけ世帯の収入を問われるのは不公平ですよね」
高山憲之一橋大教授は「国民年金の定額保険料・定額給付は問題が多い。保険料のきざみを増やして厚生年金のような所得比例型に事実上切り替え、払った保険料が将来年金として必ず戻ってくるようにするなど、支払い意欲を高める方式へ制度を抜本的に変更すべきだ」と主張する。
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●厚生年金と共済年金、まだ残る官民の差 「一元化早く」の声
厚生年金と共済年金は一見よく似ているが、制度上の格差はある。
共済年金にあって厚生年金にないのが、遺族年金の転給制度だ。加入者が死亡した場合、年金の受給権は配偶者と子、父母、孫、祖父母の順に移る。厚生年金は年金を受け取っていた配偶者と子が死亡すると受給権は消滅するが、共済年金ではその後も父母、孫、祖父母へと引き継がれる。
共済の年金額も、厚生年金にはない職域年金部分が加算される。民間企業が独自に設ける企業年金にあたる部分だ。共済年金には退職一時金の扱いや障害年金の支給額などでも有利な面がある。
政府は01年に公的年金制度を一元化する方針を閣議決定しているが、具体的な日程は決まっていない。社会保険労務士の岩城慎二さんは「官民格差はまだ残る。97年にJR共済などが財政悪化で厚生年金に吸収された時、厚生年金の負担が増えた。その二の舞いを避けるためにも早く一元化すべきだ」と指摘する。
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●年金不信、信頼と二分 本社世論調査
6月に実施した年金制度などに関する本社全国世論調査の結果を、国民年金(サラリーマンの妻など第3号被保険者を除く)、厚生年金、共済年金の加入者別にみると、共済年金加入者は制度への満足度が高く、国民年金加入者は不信や不満が強いなど、年金の種類ではっきりした違いがあることがわかった。
「今の公的年金制度をどの程度信頼しているか」では、共済年金加入者は「信頼している」が「信頼していない」を大きく上回り、国民年金加入者は信頼派と不信派が二分された=グラフ。公的年金の保険料を「負担に感じている」人は、国民年金加入者が58%と最も多く、厚生年金加入者は51%。共済年金加入者は39%と負担感は低い。
「老後の生活で公的年金をどの程度頼りにしたいか」を四つの選択肢から選んでもらったところ、「公的年金を中心に貯蓄や個人年金などを組み合わせる」「全面的に公的年金に頼る」を合わせた公的年金を中心に生活設計を考えている人は、共済年金加入者が81%と高く、厚生年金(74%)、国民年金(69%)の加入者を上回る。
また、「公的年金はあてにしない」との回答は、国民年金加入者が11%で、厚生年金(8%)、共済年金(4%)の加入者より高い。
「もし公的年金制度に加入し続けるかどうか選べたとしたら」では、「やめたい」と答えた人は国民年金加入者が最も多く35%だった=同。
調査は全国の有権者名簿から3000人を選び、6月8、9の両日、面接方式で実施した。有効回答率は65%。グラフの「国民年金」にはサラリーマン家庭の専業主婦ら第3号被保険者は含まれていない。
【国民年金保険料の免除】 自営業者やその配偶者、学生など第1号被保険者の国民年金保険料は一律で、月1万3300円。所得が一定額より低ければ免除される。生活保護世帯など法定免除のほか、届け出て認定される申請免除がある。
所得基準(控除前)は、夫婦(片働き)と子ども2人(うち1人は16歳以上23歳未満)の場合、全額免除で164万円以下、半額免除で285万円以下。年金額は全額免除で3分の1に、半額免除で3分の2になる。
(07/30)
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