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【証券関連トピックス】
 
外資系投資ファンド、日本企業へTOB攻勢 

 米国系投資ファンドによる国内中堅2社への敵対的な株式公開買い付け(TOB)が、日本企業と株主との関係のあり方をめぐって、波紋を広げている。堅調な業績に加え、資産価値に対して割安な株価、潤沢な現預金に目をつけられた。企業業績はリストラを終え、回復途上にあり、株式の値上がり益が目的の投資ファンドには格好の投資先になりつつある。

 敵対的TOBの対象になったのは、金属加工油剤大手のユシロ化学工業(東証2部)と毛織物染色大手ソトー(東証・名証2部)。昨年12月に米系ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(SP)に仕掛けられた。

 ■堅調な業績

 両社には共通点がある。一つは株価が1株当たり純資産の何倍で取引されているかを示す株価純資産倍率(PBR)の低さ。1倍以下だと、株価は解散価値より安いことになる。SPがTOBを仕掛けた時のユシロのPBRは0.75倍、ソトーは0.56倍だった。

 2点目は潤沢な内部留保だ。両社は無借金経営に近く「有価証券や現預金などの資産が多く、利益の蓄えも極めて高い水準にある」(大手証券法人担当)。時価総額も「140億円前後と手ごろ」(外資系投資ファンド)という。

 また、両社の業績は高い技術力に裏打ちされ底堅い。ユシロの主力商品である自動車エンジン加工用の油剤のシェアは35%ある。ソトーは染色事業が堅調な上に不動産収入もあり、着実な現金収入が見込める。

 だが、ともに成熟産業。配当政策が十分とはいえず、株価はこの1年、おおむね600〜900円台で推移していた。ユシロは「最終消費財を扱っていないこともあって、株主への配慮が足りなかった」(経理担当)と反省しきり。TOBの対抗策として03年3月期は年間14円だった配当金を次期から200円に増やす予定だ。

 ■浮動株増加

 背景には株式市場の環境変化もある。金融機関と事業会社の持ち合い株解消の動きだ。ニッセイ基礎研究所によると、株式持ち合い比率は97年の15%から02年に7%に低下。浮動株が増えている。この結果、経営コンサルタントのレコフの調べでは、03年の企業の合併・買収(M&A)件数のうち、TOBによるものは25件と過去最高を記録した。

 企業の業績回復もTOBには追い風だ。友好的なTOBで企業再生を目指す米系ファンドのカーライル・グループの朝倉陽保氏は「3月期決算は過去数年間のリストラを経て一気に回復する。それがまだ、株価には反映されていない」と指摘。株価の先高感から今がお買い得と言うわけだ。

 ■米欧の対策

 日本ではなじみが薄い敵対的TOBだが、80年代から米欧では対抗策で一日の長がある。

 大手ビジネスソフトのオラクルが03年6月、ピープルソフトに買収提案した際、ピープルは不利に買収された場合、顧客への返金保証を制度化、オラクルに損失が生じる仕組みを導入。「ポイズン・ピル(毒薬)」と呼ばれる防衛策で、交渉は泥沼化している。

 TOBに詳しいファンド運用者によると、株主の権利制限を盛り込む約款変更や、現経営陣に好意的な別の買い手を見つける手段、独占禁止などを理由に訴訟を起こして時間を稼ぐ対抗策などがあるという。

〈新光総合研究所投資分析部の小原雅史氏〉

 東証1、2部ともにPBRが1倍を下回る企業は全体の4割を占める。今回の敵対的TOBは何も両社だけの話ではない。企業経営者は改めて資産内容が適当なのかどうかの再確認が必要。株主重視の姿勢も問われるきっかけになるだろう。機関投資家など資金を運用する側も横並びの運用方針ではなく、企業価値を見極めた投資方針が求められる。(談)

(04/02/03 09:06)




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