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東京証券取引所の土田正顕社長の急死から間もなく1カ月となり、後任社長の人選が本格化している。証券界には民間出身者を望む声が多い一方、旧大蔵OBが6代続いた指定席だけに「本命は大蔵OB」という観測もある。ただ、東証は05年度中の株式公開を控えている。国際的な市場間競争や国内市場の再編も待ったなしだ。次期東証トップのかじ取りへの期待は重い。
■中国躍進
土田社長は1月5日の大発会で「今年こそ、中国などアジア企業の上場を実現したい」と抱負を語った。土田氏にとって最後の公式行事での発言は、東証が国内資本市場のシステム運営者では済まされなくなっているという危機意識が背景にある。
03年7月末時点の東証の時価総額はニューヨーク証券取引所には遠く及ばないが、ハイテク企業の多い米ナスダックに次ぐ世界3位。欧州、アジアの主要取引所を上回る。
だが、中国の上海や深センなどアジアの新興取引所の成長は著しく、東証がめざす「アジアの中核市場」の立場は安泰ではない。上海、深センの時価総額は計56兆円で世界10位に成長、激しく追い上げる。
一方、外国企業が上場する東証外国部の上場企業は最盛期91年の127社から32社に激減。00年6月以降、新規上場はない。しかも、東証を通さずに日本で資金調達するアジア企業も珍しくなくなってきた。03年末にニューヨーク、香港市場に上場した中国生保のチャイナ・ライフは、133億円を日本国内の投資家から直接調達した。
土田時代にアジアの主要取引所との提携関係を築いたが、新社長は国際競争力向上への具体策づくりが求められる。
国内証券取引所の再編論議も不安要素だ。国内株取引の9割以上は東証に集中。札幌、名古屋、大阪、福岡の各取引所は上場企業数が減り、薄商いが続く存亡の危機にある。地方取引所が窮状から抜け出すため、東証を巻き込んだ再編論議がくすぶり続けている。
今秋にも店頭市場から証券取引所に「昇格」するジャスダックを軸に各取引所が連携を深める構想もある。00年に東証が新潟、広島の両取引所を合併したときのような救済案も浮上しかねない状況だ。
■民間出身か大蔵OBか
業界団体の東証取引参加者協会は6日、「人選は官僚出身でない民間企業人を対象とすること」と要望した。しかし、業界が最も待望する野村ホールディングスの氏家純一会長(58)は、多忙を理由に「引き受ける気がない」(東証関係者)。野村社内でも反対の声が強い、という。
財界では、北城恪太郎・経済同友会代表幹事(59)や、日本経団連副会長の槙原稔・三菱商事会長(74)、西室泰三・東芝会長(68)らの名が浮上するが、就任の意思がない、とみられている。
財務省は「株式会社なので東証自身で決めること」(林正和事務次官)と、静観を決め込む。だが、OB就任への下地は整いつつある。
口火を切ったのは、竹中経済財政・金融相。3日の記者会見で「人物本位で改革が進められる方を人選されると思う」と語り、民間に絞る必要はないと、くぎを刺した。
OBで名前が取りざたされているのは、土田氏と同期入省で、現在は東京金融先物取引所理事長の斎藤次郎氏(68)、国際協力銀行の篠沢恭助総裁(66)、日本たばこ産業の小川是会長(63)ら。「今年は政府系金融機関などで大幅なトップ人事が予想される」(大蔵OB)ため、東証人事もその輪の中で動く可能性もある。
(04/02/25 08:57)
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