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世界は広い。日本が景気低迷でも、世界のどこかには、金利の高い国や株価が堅調な市場があるはず。「日本がダメでも海外があるさ」。こうした考え方に基づいて、海外の株式や通貨に資産を分散するのが国際分散投資だ。
現在、日本では、円高基調で物価が低下するデフレが常識になっているが、FP(ファイナンシャル・プランナー)の神戸孝さんは、将来的に政府や日本銀行の政策転換があれば、「円安やインフレの恐れがある」と指摘し、そうしたリスクに備えるためにも、外貨建て商品を資産に組み入れることを薦めている。
<豪州ドル建て預金は3%台>
為替相場は24時間取引、眠らないマーケットである。円相場が変動相場制に移行したのは、日中国交正常化の翌年1973年2月だ。変動相場制も30年に突入し、日本で資産運用でもその重要性が定着しつつある。
その代表商品が、外貨預金や外貨建てMMFだ。米国やユーロの金利は低下して、日本の金利との差が縮まっている。しかし、広い世界には、現在も、オーストラリアやニュージーランドのように、相対的に高金利の国もある。
元金100万円で、豪州ドル建ての定期預金を始めたとする。為替レートが1豪ドル=80円で預金額は1万2500豪ドルとなり、3%複利で5年後に、預金額は1万4490豪ドルとなる。円ベースでは115万9273円となり、100万円に対して15.9%のリターンとなる。これは、満期時も1豪ドル=80円で、売買の為替レートの差額である為替手数料や税金を考慮しない場合だ(豪ドルの場合、為替手数料は往復で4円)。一方、日本の金利は低い。100万円を0.1%複利で5年経っても100万5009円にしかならない。
豪州ドル建て定期預金の場合、仮に満期時に1豪ドル=70円と預け入れ時より10円の円高になっても、3%複利で5年後には、101万4364円で、先の円定期のリターンを上回る。実際の運用には、為替手数料や税金を考え、最終的な手取り金額で比較する必要がある。
<将来の円安トレンドにも備える>
外貨建て資産で運用するメリットは、金利の高さだけではない。満期時に1豪ドル=90円の円安になれば、130万4183円とさらに大きなリターンをあげることになる。つまり、円相場の動向によっては為替で稼ぐこともできるのだ。
現在の円相場は、1ドル=105円台で推移している。財務省・日本銀行は積極的にドルを買い支える為替介入をして、急激な円高の進行を防いでいる。現在の円相場の水準は、記録的な高値圏に迫ろうとしている。1995年4月19日、円相場は、1ドル=80円割れを記録している。一方、過去10年の最も円安となったのは、1998年8月11日で、147円後半で取引された。ドルやユーロなど外貨で資産を分散しておけば、かりに将来、円安トレンドになっても、円ベースの資産価値が低下するのを防いでくれる。
<年金を通じてすでに外国株式にも投資>
世界の株式市場や海外の企業に投資するのは、一般の人にはまだまだなじみがない。むしろ、プロのすること、恐いなどと考える人も多い。しかし、年金に加入する人のお金は、海外の株式に積極的に投資されている。それは、個人や企業が支払う厚生年金や国民年金の資金運用を担当する年金基金を通じた国際分散投資だ。
政府系の年金資金運用は2003年9月末現在、道路公団の財源などに回る財政投融資資金特別会計国債(財投債)に20兆4259億円の資金を融通するほか、40兆2595億円を国債や株式などで運用している。このうち、13.1%にあたる5兆2700億円が外国株式で運用されている。年金加入者は間接的ながら、すでに海外の株式で資産運用していることになる。
下のグラフは、1994年から10年間、日本、米国、ドイツ、香港の株価指数の年間変動率を示している。日本の株価指数(TOPIX)は、10年のうち6年がマイナス、単純平均でマイナス0.6%と最も成績が悪い市場だった。これに対して、米国とドイツのマイナスの年は4年だけである。単純平均では、米国の株価指数(S&P500)が11.0%の上昇率を記録している。1999年は、世界的なIT相場で4市場とも上昇しているが、とくに香港の株価指数(ハンセン総合指数)は68.8%と大幅上昇を記録した。日本の株価指数も1994年には、3市場が下落する中で、唯一、上昇となっている。このように株式市場の動向を示す株価指数でも、国・地域によって成績が違う。こうした国による株価変動の違いをうまく活用できれば、ミドルリスク・ミドルリターンも夢ではない。
神戸さんは「これからの成長力を考えると、中国の株式市場は有望だろう」という。短期的には、中国投資の過熱を懸念する声もあるが、10年単位、20年単位で資産分散を考えるとき、海外株式の中で、いま勝ち組とされる米国以外の投資先の研究も必要になるだろう。
いったん海外に投資すれば、海外ニュースを一層、身近に感じるきっかけにもなる。プロに任せっぱなしにせずに、世界に挑戦するのも、投資家の醍醐味ではないか。
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神戸 孝(かんべ たかし)さん |
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FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社代表取締役。1993年の第1回資格審査試験でCFP(FP上級資格)取得、日本ファイナンシャル・プランナーズ(FP)協会評議委員。
三菱銀行勤務、イマジニア株式会社役員(人事・財務担当)、日興證券(リテール事業推進部)を経て、1999年5月、FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。「幸せな老後を呼び込む ほんとうに真っ当な資産運用」(朝日新聞社、2003年)などの著書がある。
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(02/07)
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