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自宅などで保管していた「タンス株」を預けに来る人で証券各社の店舗がにぎわっている。20兆〜30兆円と言われるタンス株の預け入れを増やせば、新たな顧客獲得につながる。株券の電子化と新しい証券税制の導入が商機をもたらした形で、各社は「株券ってなくなるの?」と目を引く広告を打つなど営業活動に余念がない。
ある大手証券の支店(千葉県柏市)では11月ごろからタンス株を預けに来る客が急増、外回りの営業マンを動員しても対応し切れず、多いときは30人待ちになる時もある。親の遺産で相続した株式の名義変更や、会社が合併して別の社名になっている場合は、本人確認などの手続きを進めている。
03年の証券税制の変更で、タンス株は「特定口座」に預けない限り、株の売却益を自分で計算し、確定申告しなければならなくなる。特定口座への預け入れは09年5月までできるものの、今年12月末までなら、取得価格について、みなし価格を認めるなど、所有者に有利な条件設定となっている。
また、今年6月に上場会社の株券をなくし、電子化する法律が成立。電子化は09年6月までに実施され、名義変更をしていなければ登録されず、手持ちのタンス株は、ただの紙となってしまう。
証券会社にとっては、口座を開設してもらえば手数料が入るうえ、新規顧客の獲得につながる。日興コーディアル証券が個人投資家向けに今年10〜11月に計3回、全国で一斉に実施したタンス株の預け入れに関するセミナーには5千人以上が参加し、うち6割強が新規顧客だった。
特定口座の開設数は、大和証券が10〜11月で約10万増やしたほか、日興は11月だけで約8万増やすなど各社軒並み増だ。特定口座を開設した人のなかには、通常口座を切り替える場合もあるものの、株価低迷の厳しい状況の中では、文字通りの「特需」となっている。
手続きが遅れているタンス株はまだ二百数十億円程度、出回っているとみられるため、15日の来年度の与党税制改正大綱で預け入れの期限の延長が決まった。大手証券幹部は「要望通りとなって良かったが現場は営業ができないほど事務作業が多く、年末も休めない」。来年以降、新規顧客に個人向け国債を勧めるなど新たな展開に期待を寄せている。
〈タンス株〉自宅や貸金庫など個人で保管している、ジャスダック銘柄を含む上場株式、上場新株予約権付き社債(旧転換社債)などを指す。紛失や盗難の危険をなくし、取引の迅速化を図る狙いで株券は電子化される。電子化移行後、自分名義でないタンス株を保有していると株主の権利を失うことがある。
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