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偽造キャッシュカードで不正に預金を引き出される被害が相次ぐ問題で、対応の遅れを指摘されていた銀行界が25日、防止策に本腰を入れ始めた。身体の特徴で本人かどうかを確かめる「究極の対策」を導入する銀行も出てきたが、被害増加に歯止めはかかっていない。金融庁からは、被害補償についての業界ルールを求められているが、銀行界の反発は根強く、難航するのは必至だ。
群馬県のゴルフ場を発端に起きたカード偽造事件では、貴重品ロッカーにあったカードから磁気データを読み取り、ロッカーの暗証番号から銀行口座の暗証番号を当てるという手口が判明した。被害者側のカード管理に落ち度がないことが明らかなため、この件については、全国銀行協会としても補償の可能性を示唆した。しかし、04年度前半だけで4億6千万円(全銀協調べ)にのぼる被害の中では、まだ例外的なケースだ。
被害対応策として全銀協があげた「保険付き預金」の導入銀行は、北国銀行(本店・金沢市)など数行で、限度額も100万円程度。東京三菱銀行は昨秋導入した生体認証カード(手のひらの静脈の形で本人確認)会員に1億円まで補償するサービスを取り入れたが、年会費が1万500円かかるので、急速な普及は見込みにくい。
こうした現状に、政府や与党からも業界に努力を求める動きが強まる。
「被害発生後も利用者保護の実効性を確保しうる対応を要請する」
小泉首相は25日の衆院本会議の代表質問の答弁で、2月中に補償の自主ルールづくりを業界に求める考えを強調した。
今後金融庁は、全銀協が定めるカード利用約款の「ひな型」に、銀行による被害補償を明記するよう求めるとみられ、状況によっては法制化の可能性もある。
米国では50ドル(約5千円)、英国では50ポンド(約1万円)の預金者負担を除き、全額を銀行側の負担で補償する法律や自主ルールもある。
こうした「銀行負担原則」のルール化には「預金者が被害を装って補償を求めてくるケースも予想され、安易な補償は危険」(メガバンク幹部)といった反発もある。
しかし、補償を求めて集団提訴を準備する被害者もおり、全銀協が「ゼロ回答」を貫けば預金者の不信を招きかねない。
ただ、西川善文・全銀協会長は25日の記者会見で「判例や偽造団の逮捕例を見ながら、(補償の)あり方を再検討する余地はある」と慎重な言い回しに終始した。
「被害後」対応が進まぬ一方で、「予防策」は徐々に広がっている。
三井住友銀行は昨年9月から、現金自動出入機(ATM)の利用時に後ろから暗証番号を盗み見されないようにする「バックミラー」を設置。被害を最小限に食い止めるため、ATMから一度に引き出せる額を預金者の希望額まで下げられるサービスを取り入れる大手行も相次ぐ。
またICカードは02年に導入したUFJ銀行に続き、みずほ銀行が今年3月からすべての個人預金者を対象に発行する。
ただ、東京三菱の生体認証カードは他行やコンビニのATMでは使えない。ICカードもシステム整備に多額の負担が伴う。地方銀行などでは二の足を踏むところも出てきそうだ。
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◆全銀協がまとめた偽造キャッシュカード対策
【使用防止】
・暗証番号のセキュリティー強化(のぞき見防止/類推されやすい番号への注意喚起/定期的な変更の推奨)
【カード偽造の防止】
・磁気記録と暗証番号に代わる新システムの導入(ICカード化/生体認証による本人確認)
【被害拡大の防止】
・利用限度額引き下げ
・異常取引の早期発見体制の整備
【被害への対応】
・捜査への積極的な協力(速やかな被害届/防犯ビデオ保管期限の延長)
・補償の検討(規定や法に照らした真摯<しんし>な対応/保険付き預金の開発)
(01/26)
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