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拉致被害者5人は日朝首脳会談終了後の22日夕、東京都内で記者会見し、家族帰国の感想を述べた。
曽我ひとみさんは蓮池、地村両夫妻に挟まれ、肩をすぼめてうつむきがちに席についた。
地村保志さんは、初めから曽我さんへの気遣いを口にした。「何と今の気持ちを表現したらいいか……。曽我さんの気持ちを考えると(自分たちの子どもが帰国することを)喜んでいいのか、複雑な気持ちです」
1年7カ月前に帰国してから、5人で家族別離の切なさを語り、支え合ってきた。前夜の夕食の際にも、女性3人で「明日だね」と励まし合ったという。「家族全員が帰ってきて欲しいというひとつの気持ちになった。そんな話をした」。蓮池薫さんは午前中の会見でそう語っていた。
だが、北朝鮮から届いた知らせは、「ひとつの気持ち」を引き裂いた。 再会の喜びを語るはずだった午後の会見は、重く沈んだ。
髪をかき上げ、一言ずつ絞り出すように曽我さんは語った。「地村さん、蓮池さんは家族一緒に楽しく、生活して欲しいと思っています。私の場合も一生会えないということではなく、近いうちに家族に会えると思うので、その日のため一生懸命頑張りたい」
両夫妻は、子どもの帰国を知らされた時、曽我さんが部屋を訪ねてきて「おめでとう」と手を差し出してくれた、と会見で明かした。
「ね、羽田に一緒に行きたかったね。申し訳ないって言っちゃなんだけど、たまんない気持ち」。曽我さんは隣にいた蓮池祐木子さんの言葉を聞きながら、「ありがとう」と小さくつぶやき、何度もハンカチを鼻に当てた。
待ちに待った子どもたちとの再会。だが、蓮池、地村両夫妻は最後まで喜びを語らなかった。蓮池薫さんは「うれしい気持ちはないです。これで終わったら駄目です」。「子どもに何と声をかけたいですか」との問いに、地村保志さんは「その質問については前回までの会見で話をしたし、この場では勘弁してもらいたい」と口を結んだ。
曽我さんは、中国で再会するという小泉首相の提案を受け入れる意向を示した。3人の家族をどう説得するかと問われて、こう言った。「4人で静かに話をして、どんなに時間がかかっても日本で暮らしたい」
◇ ◇
主なやりとりは次の通り。
――今の気持ちは。
〈地村保志さん〉 曽我さんの家族は、お帰りにならないということで、複雑な気持ちです。曽我さんの気持ちを察して、何と言葉をかけようかなと思ったが、曽我さんの方が最初私たちに『良かったねえ、おめでとう』と言ってくれたので、本当に曽我さんの強い気持ちを理解した。小泉総理には、曽我さんの家族が一日も早く日本に住めるよう、米国との政府間交渉でやってほしい。
〈地村富貴恵さん〉 喜びを分かち合いたい気持ちでいっぱいだったが、本当に残念だと思う。でも、希望を持って、また会えるのだから、がんばってね、と曽我さんに言ってあげたい。
〈曽我ひとみさん〉 地村さんと蓮池さんには、これから家族一緒に楽しく生活していただきたいと思う。私の場合も、もうこれから一生会えないということではないので、どこかで近いうちに家族に必ず会えると思うので、その日のために一生懸命がんばりたい。小泉総理をはじめとして政府の方々には、いい結果が出るように努力してもらいたい。
〈蓮池祐木子さん〉 曽我さんと一緒に5人で頑張ってきたのだから、一緒に羽田に向かいたかった。でもこういう結果になって本当に残念な気持ちです。私たちは曽我さんのことを心配していたが、曽我さんが私たちの部屋に入ってきて大きな声で「おめでとう」と手を出してくれた。私たちのことを気遣ってくれて、曽我さんに、申し訳ない気持ち。
〈蓮池薫さん〉 私は嬉しい気持ちはない。曽我さんがこういうことなり、慰めの言葉もない。これで終わるはずはないと思う。すぐ、家族が再会できる。再会で終わらずに、それから一緒に生活できる条件になってほしいし、さらには日本で我々と、同じ新潟県で仲良く暮らしたい。
――ジェンキンスさんには総理自ら説得したが、うまくいかなかったとの説明があった。
〈曽我さん〉 総理がわざわざ行って会ってくれて、説得してくださったことを心からありがたく思っている。
――(曽我さんと家族が)近く北京で会えるという話があるが、その時にはどうやって(家族を)説得したいか。
〈曽我さん〉 まずは4人がゆっくりと色々な話をして、それぞれ4人が違った考えを持っているところがだいぶあると思うが、どんなに時間がかかっても、最後には4人で日本で暮らしたいと思っている。
――総理に対する気持ちは。
〈保志さん〉 個人の考えだが、本当に良くしていただいたと感謝している。今回の訪朝で、帰国者本人の家族の帰国問題については、できる限りのことはやってくれたのではないかと思う。
〈薫さん〉 拉致問題で動きがあったのは事実。曽我さんの問題は、日本政府が米国との交渉をしっかりきっちりやって、ジェンキンスさんが日本に来られる環境、条件を作るのが大事だ。
――莫大(ばくだい)な人道支援の見返りという批判があるが。また、10人の再調査を求めたことについて具体性はあると思うか。
〈保志さん〉 小泉総理の会見では、国際機関を通じてやると言うことで、家族との関係については関係ないというが、私たちはその言葉を信じたい。人道支援というのは、やはり、日朝関係を友好関係に方向付ける意味で、ある程度の配慮をするのではないのかと理解している。
〈薫さん〉 10人の安否不明者の問題については、今後解明に私どももできるだけの協力をさせていただきたい。これは向こうが再調査をすると言った以上、これからは日本政府のやり方次第ではないかと思う。
〈曽我さん〉 みなさんや母のことを考えると、できるだけ早い時期にしっかりとした回答を頂きたいと思う。
――いよいよ、お子さんとの再会が現実となった。会った瞬間、なんと声をかけたいか。
〈保志さん〉 いまの質問については前回までの会見でもお話ししたし、こういう場でそういうお話ししたくないので、ご了承願いたい。
――2人の娘が「まず北朝鮮に戻ってきてほしい」と言っているというが、3人へのメッセージは。
〈曽我さん〉 帰ってきてほしいということは、お母さんに会いたくてたまらない、という風にとらえた。これから、近いうちにきっとそんな良い日があると思うので、それまでは頑張ってほしいと思う。
(05/22 22:40)
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