パレスチナ自治政府のアッバス首相は6日、アラファト議長に対し辞表を提出した。アラファト議長は側近らと辞表を受理するか7日にも協議するが、最終決断は下していない模様だ。アッバス首相に対し、次期首相が決まるまで引き続き暫定内閣を率いるよう命じた。中東和平の「ロードマップ(行程表)」を主導する米国が、アラファト議長に代わる指導者として首相を支持してきたが、辞任が確定すれば、和平の枠組みが根底から揺らぐことになり、新たな仕切り直しを求められることになる。
自治政府のエレカット前交渉相らによると、国会に相当するパレスチナ評議会が6日開催され、辞表の提出が報告された。前交渉相によると、パレスチナ指導部は今後2週間以内に後任を決めるが、自治政府内には有力後継者はおらず、アッバス首相に続投を求めることもあり得るという。
アラファト議長は7日にも、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの中央委員会を開き、今後の方針を協議するが、難航が予想される。
イスラエル首相府はこの日、自治政府の権力をアラファト議長が掌握したままの事態は認めないとの声明を出した。
アッバス首相は、アラファト議長に権力が集中し過ぎているという批判から新設された首相職に4月末に就任。以来、ロードマップに盛られた過激派対策に乗り出したが、治安組織の再編をめぐってアラファト議長と対立、イスラエルからは対策が不十分だと指摘されていた。
8月中旬、イスラム過激派ハマスなどがテロを再開、イスラエルも報復したため、和平交渉は完全に行き詰まった。事態打開のため、首相は議長に権限の委譲と拡大を迫ったが、確執は続き、4日のパレスチナ自治評議会で辞意をほのめかしていた。
自治政府筋によると、後任人事の見通しはまったく立っていない。アラファト議長に譲歩を迫る「ぎりぎりの駆け引き」との見方もあり、翻意の可能性も残っているという。
(09/07 02:03)
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