■ラミン・アルカスムさん(38)

 日本に初めて来た時、一番驚いたこと、それは「子どもがいない!」ということでした。ニジェールでは1人の女性が産む子どもの数が平均7人。2013年の統計だと世界一です。人口の大半が住む村では農作業に人手が必要なことや、子だくさんの男性が尊敬を集める文化が影響しています。だから村でも都市でも通りに子どもがいっぱいいます。さんさんと降り注ぐ太陽の光も体によいと考えられているので、親は子どもが歩けるようになると、すぐ外で遊ばせます。

 子どもは授乳が終わる1歳半になると祖母に預けられます。社会に出て働いている母親は少ないですが、母から離すことで子どもが強くなると考えられているからです。母親は次の子の出産に備えて、ゆっくり過ごすことができます。

 私が育った都市部でも、親戚や近所の家にいくと子どもが10人ぐらい集まっています。子どもは地域の家を出たり入ったり。どこの家の子か分からないぐらいです。隣の家に子どもを預けて、数時間後に行ったら「いない!」と焦るかもしれません。が、別の家で遊んでいるでしょう。知らない人の家にいる時もあります。

 ニジェールにはハウサ語で「ヤーロナコワネ(子どもは親だけではなくみんなで育てるもの)」ということわざがあり、みんなが喜んで子育てしようとします。子どもは自然からの「贈り物」で、自分たちも昔は子どもだったから面倒を見なくては、と考えるからです。「ヤーロマーラミンカンシネ(子どもは自分が先生だ)」ということわざもあります。大人が事細かく教えなくても、子どもは柔軟に色んなことを考え出す、という意味です。

 娘は日本で大きくなるので、日本のやり方で育てます。でも、アフリカの文化や伝統は知ってほしいですね。牛久にある私が経営するカフェでは時折、アフリカの文化を紹介する講座を開いています。娘にも大きくなったら参加して、広い世界を知ってほしいですね。(構成・高橋友佳理)

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 ラミン・アルカスム(38) 青年海外協力隊員としてニジェールに赴いた妻と結婚し、2011年来日。茨城県牛久市に昨春「カフェ アガデズ」をオープン。長女はもうすぐ1歳。