■リアット・ルフト・森藤さん(38)

 我が家は夫と私の会話が英語、夫と子どもたちは日本語、私と子どもたちとはヘブライ語で、共通言語がありません。不便なこともありますが、何とか折り合いをつけてやっています。私自身、もっと日本語が上手になりたいのですが、やはり漢字が難しくて苦戦中です。

 文化的な面では、日本に住んでいるからこそ、子どもたちにはイスラエルやユダヤ教の文化や歴史をしっかり伝えていきたいと思っています。

 私の祖父は信心深い人で、私も幼い頃から宗教や民族の行事を大事にしながら育ってきました。ホロコーストも生き延びてきた祖父母の苦難を思うとき、私の代でこうした文化の伝承を途絶えさせてはならないと感じるのです。

 夫もその考えを尊重してくれていて、伝統行事は、在日イスラエル人の友人家族と祝ったりしています。

 今年は3月初旬にイスラエルに帰省しました。この時期の大きな行事はプリム。ルーツは紀元前5世紀までさかのぼり、当時ペルシャ帝国に住んでいたユダヤ人が、民族存亡の危機に立たされたところを、同じユダヤ人の王妃エステルによって救われた故事を祝う日です。

 皆でシナゴーグに集まり、旧約聖書エステル記を朗読したあとで食べるジャム入りのクッキーが子どもたちの楽しみ。大人にとっては、お酒です。ユダヤ教には「コーシャ」と呼ばれる食べものに関する細かな規定があり(肉と乳製品を同じ料理の中で一緒に食べるのはダメなど)、飲酒も控えめなのですが、この日ばかりはたくさんお酒を飲み、酔って騒ぐことが良いとされているのです。

 仮装行列や仮装パーティーもつきもので、我が家も長男はサッカー選手の本田圭佑のユニホーム、長女はプリンセス、次男は中国映画キョンシーに出てくる、弁髪のついた帽子をかぶって祝いました。長女と次男はイスラエルで初プリムだったので、特に喜んでいました。子どもたちがこれからも、こうした行事を通じてイスラエルへの親しみを深めていってくれるといいなと思っています。(構成・前田育穂)

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リアット・ルフト・森藤(38)イスラエルのウェブマガジン「saloona(サルーナ)」のブロガー。(http://saloona.co.il/israpanit/)家族は日本人の夫と2男1女。