■ファッション・クロニクル

 0歳の私を抱っこしているのが母です。1967年に、叔母と姫路城前で撮った写真です。母は弟を妊娠中で、マタニティーのワンピースを着ています。

 母は大阪市出身で、いま73歳です。中学を卒業後、テーラーで経理をして、結婚を機に退職しました。着付けの先生もしていて、古い着物をスカートに仕立て直すこともありました。私の小学校の入学式のときは、白いニットワンピースを作ってくれましたね。

 でも、母をおしゃれだと思ったことは一度もありません。ビーズでトラの絵が描いてあるセーターも着ていましたし。

 60歳のとき、大阪市の高校の定時制(当時)に入学し、「女子高生」になりました。理由は「暇だから」。私たちきょうだい3人を育てあげ、カメラマンだった父と2人で家にいてもつまらなかったようです。

 高校では、10代の学生と一緒に、ブルマやスクール水着で体育の授業を受けていました。ブログやミクシィも楽しんでいました。新しい世界を知って、母は若返りましたね。

 母が学校に通ったことで、父も変わりました。それまでしなかった料理や洗濯、掃除をするようになり、ゲートボールを通じて友達も増えました。

 高校を卒業した母は、地域の子どもの世話をしたり、スポーツクラブに通ったりと今も元気です。(聞き手・大井田ひろみ)

     ◇

 1966年生まれ。代表作に「ホタルノヒカリ」、43歳での出産体験を描いた「ヒゲの妊婦(43)」など。自らの呼びかけで漫画家11人が東日本大震災を描いた「ストーリー311 あれから3年」(KADOKAWA)を発売。