■ファッションクロニクル

 東日本大震災後、自分に何ができるか考えていました。

 2011年秋、宮城県南三陸町にボランティアに行った友人に「被災者やボランティアたちの話を多くの人に知ってほしい。漫画にしてもらえないか」と言われました。漫画に書き残すことで語り部のような役割を果たせないだろうか――。

 知り合いの漫画家に声をかけると「何かしたかった」とすぐに引き受けてくれました。「ママはテンパリスト」の東村アキコさんら漫画家計11人が12年2月から、岩手、宮城、福島県にそれぞれ足を運び、取材を始めたのです。

 私が描いたのは、福島県にある小学校の、30代の女性教諭です。「出産は考えていない」と、淡々とした一言がショックでした。

 この言葉を漫画に出すか悩みました。でも、福島に住む女性が現実に悩み決意したことだと思うと無視できず、ペンをとりました。

 色々と迷いながら現地に行ってわかったことは、「わからないから遠巻きに見ておこう」という考えが何も言えない空気を作っていたということです。

 他の漫画家も、漫画に描ききれなかった思いがあふれ、あとがきに文字が詰まっています。

 こうしてできた「ストーリー311」は、「本を読み、被災地に行った」などの反響があり、2巻をつくることになりました。

 私は同じ福島の女性を描きました。「のだめカンタービレ」の二ノ宮知子さんなど新たな筆者も加わり、「ストーリー311 あれから3年」が今年3月に発売されました。1巻と同様、印税・著作権料を寄付します。

■「忘れていない」を発信

 被災地では、ボランティアの数も減り、「自分たちは忘れられているのでは」という声をよく聞きました。忘れていない、ということを発信したり行動したりすることが大事だと思います。小さい子どもがいて現地にボランティアに行くことはできなくても、買い物で東北のものを選ぶなど、できることはあります。

 私自身、今後も、何らかの形で震災を漫画にする活動を続けたいです。

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 漫画家。1966年生まれ。代表作に「ホタルノヒカリ」、43歳での出産体験を描いた「ヒゲの妊婦(43)」など。