作家の志茂田景樹さん(74)に、子どもの声の「騒音」問題について意見を聞きました。

   ◇

 僕は20代の頃、保険の調査員として全国を歩き回っていました。神社や寺の前を通ると、子どもの声が聞こえるんです。境内で子どもが遊んでいると、おじいさんやおばあさんが、自分の孫でなくても見に来ている。元気をもらいに来ていたんですね。この子たちは成長して世の中を支えてくれるんだ、と未来への思いもあったと思います。

 だんだん三世代同居が減り、子どもに慣れない単身者が増え、子どもの高い声が耳障りになっているのでしょう。

 確かに、駄々っ子が「あれ買って」と騒ぐような、子どもが大人にわがままな要求をしている場合はうるさいですよね。でも、楽しく子どもが遊んで発する声は、どんなに高くてもうるさくない。喜びとともに声が伝わるから。

 「『うるさい』と言う人がいるから静かにしよう」というのは対症療法でしかない。なぜ子どもの声を聞くとイライラするのか、そこを掘り下げないと根本的な問題は解決しません。例えば、静かに暮らしたい独り暮らしの高齢者には、孤独感や将来の不安といった悩みがあるのかもしれません。

 保育園や保護者は「子どもに理解がない」と壁を作らず、普段からあいさつなどで接点をつくり、理解してもらう努力が大切だと思います。それで「子どもっていいね」とお互いが笑えるようになったらうれしいでしょ。僕は絵本の読み聞かせを16年以上続けています。子どもの声から元気をもらっていますよ。(大井田ひろみ)