■「ハンサムマザー」はとまらない:21

■今尾朝子

 「ENFOLD(エンフォルド)」「HYKE(ハイク)」「FLICKA(フリッカ)」「Kaon(カオン)」……VERY誌面でもよくご紹介するこれらの名前は、百貨店やセレクトショップでよく見かける、ファッション業界も注目のブランドです。共通点は、みな日本人デザイナーであること。そして、みんな“お母さん”でもあること。

 どのブランドも付加価値としてママを売りにしているわけではまったくなく、ファッション性の高い服に色がつかないよう隠しているブランドすらあります。一線で活躍する女性たちが、自然に家庭を持ち、子供ができた結果、母になっただけ。なので、独身女性もママも、単純にそのトレンド感に魅(ひ)かれて、人気があるというのが事実。

 それでもVERYとしてはその裏にある、母目線がついつい気になります。あるデザイナーさんが、「胸元は開いたほうがセクシーということはなくて、詰まったネックラインは大人の首元をきれいに見せてくれる。働くママにはきちんと感が出せていいですよ」と話してくれました。ボトルネックは最近の流行ですが、それが大人の女性に受け入れられるという確信がデザイナーにはあったのです。

 そうやって、ママデザイナーたちは、トレンドを打ち出しながら、ママにとっての利便性をその中に忍ばせているように感じます。言い換えれば、今のママたちはたとえ大人の二の腕やお尻をキレイに見せるデザインだからといって、ファッション性の落ちる服は、選ばないのです。

 オシャレをあきらめず、扱いやすく、着心地が楽な服が欲しいという、当事者だからわかるママの気持ち。ファッションの最先端にいながら、ひそかにママの気持ちに寄り添うママデザイナーたちの服が、今まっさかりの展示会シーズンを一層盛り上げていました。(VERY編集長)