■「ハンサムマザー」はとまらない:1

■今尾朝子

 「毎日乗っているのに愛着が湧かず、軒先で雨ざらしに」「ガニ股になる姿がおばさん臭いと主人に言われて」「旦那が、ダサいから俺は乗りたくないと」――。読者から直接聞いたママチャリに対する本音の数々。

 こうした声に衝撃を受け、VERY編集部は子育てに奮闘するママたちの気分がアガるママチャリを作りたいと、メーカーに自転車の共同開発を提案。2年半かけて出来たのがブリヂストンサイクルの「HY(ハイ)DEE(ディ).B(ビー)」という子乗せ電動自転車です。14万円と高額ながら発売から2年で出荷台数は2万台を超え、ヒット商品となりました。

 開発当時の読者アンケートで多数集まったのは、ファンシーなボディーカラーや多色使いが嫌、角の丸さを強調した形が嫌、といったデザイン面への不満でした。企業が考える主婦像に対して、明らかに違和感を感じているのが分かりました。

 もともとVERYという雑誌は主婦という言葉がネガティブに使われる“主婦くさい”という言葉が大嫌い。その代名詞のように言われるママチャリを、“主婦らしく、カッコいい”ものにするのが今回のミッションです。

 日々たくましく主婦業をやってのけるママたちには、可愛いという褒め言葉より、カッコいい=ハンサムが似合う。そんな女性たちのイメージを大事にしました。20インチのタイヤサイズが主流の中、26インチの太タイヤにこだわったのは、夫婦兼用を目指したから。

 今では、保育園への行きはパパ、迎えはママが同じママチャリを乗りこなす光景も珍しくなくなりましたよね。色展開はマットな黒、つやありの白、赤……の中でハンサムマザーたちに何色が一番売れていると思いますか? もちろんマットな黒なんです。

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 いまお・あさこ 光文社の月刊誌「VERY」編集長。おしゃれな30代ママの心をつかむ企画「洗える服しか欲しくない」「ゆるトラの母がいる」「イケダン(いけてるダンナ)の真実」など、ヒット多数。一番の情報源は読者との会話。雑誌HP(http://veryweb.jp/)