■ファッション・クロニクル

 兄ちゃんの七五三で、津市の実家から一番近い大市神社に行った1980年の写真です。おかんの服は、この日のために、祖母が作りました。おかんがデパートに飾られた服をチェックして、祖母が型紙からおこしたそうです。オレンジ色で、大きなボタンがついたジャケットとスカートのツーピースです。立ち襟がお気に入りだったとか。色つきのメガネは、いつもかけていました。

 普段は、服にこだわりがある感じではないです。看護師だったので、仕事でナース服を来ている時間が長かった。家ではジャージーとかだったかなあ。スカートをはいているイメージもあまりないです。

 反対に、おやじは同じ型のセーターを3色色違いで買うようなおしゃれな人で、3歳上の兄ちゃんも服が好き。その影響で僕も小学校中学年から自分の服を選びたくなって、おかんと一緒に買いに行きました。行き先はジャスコ。「これがいい」と言うと、おかんは「ダメ」とは言わなかった。

 高校生の頃、おかんが自分の服に気を使っていないと気づき、兄ちゃんとプレゼントしたことがあります。津のデパートに行ってシャツを買ったりしました。おかんのアルバムを見たら、結婚前に1人で海外旅行に行ったときロングのコートを着ていた写真があり、若い頃はおしゃれに気を使っていたんだと思う。

 うちではおやじが料理や掃除をしていました。コックやトラック運転手など色々な仕事をしていたから、料理が得意なんです。おかんは料理はしないけど、整理が上手で、家族アルバムを作ってくれました。この写真のように撮影日やコメントを手書きして、レイアウトも考えて。

 最近は、アルバムを作ることが減っているそうです。デジカメでたくさん撮影して、選んでプリントするのが大変なのかもしれません。パソコンに保存しているのかな。でも、電源を入れなくても、いつでもぱっと見られることがアルバムの良さです。家族写真って、いつもは見なくても、何かのときの支えになるものだと思う。東日本大震災のとき、被害にあって汚れた写真を洗浄するボランティアをして感じました。

 家族アルバムって2種類ありますよね。自分が生まれた家族のものと、自分で新しくつくった家族のものと。僕は2年前に結婚しました。いつか子どもが生まれたら、子どもをどう撮るのか楽しみです。(構成・大井田ひろみ)

(撮影・門間新弥)

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 あさだ・まさし 79年生まれ。写真集「浅田家」で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。新刊に「家族写真は『 』である。」。