比べてみよう わがまちの介護保険料

比べてみよう わがまちの介護保険料 比べてみよう わがまちの介護保険料

全国3400万人の65歳以上のみなさん! 介護保険料って、住んでいる市町村ごとに違うってご存じでしたか?

年金を受け取っている人は振込通知書を見てください。2カ月に1度振り込まれる年金。そこから毎回、2カ月分が「天引き」されているあれですよ。3年ごとに見直されていて、今の月額は全国平均で5514円ですが、一番高いところは8686円、安いところは2800円。なんと3倍以上の格差があるのです。

自分が暮らす街の保険料が、まわりと比べて高いのか安いのか、直近の2015年度の見直しで金額がどう変わったのか、チェックしてみませんか? そして、これからの「高齢ニッポン」の行方について考えてみませんか?

介護保険の簡単な仕組み

そもそも介護保険ってなんでしょうね?

簡単にいえば、介護が必要になったときのために、みんなでお金をいれておく「お財布」のようなものです。介護が必要になると、この「お財布」のお金を使って、自宅で訪問介護サービスを受けたり、デイサービスに行ってお風呂に入れてもらったり、特別養護老人ホームで介護を受けたりするわけです。介護が必要になっても困らないように、みんなで助け合う仕組みとも言えます。

「お財布」の姿をグラフでご覧下さい。

介護サービス費用=介護給付費「お財布」+自己負担(1~2割) 介護サービス費用=介護給付費「お財布」+自己負担(1~2割)
円グラフ画像

介護保険を使ってサービスを受けると、自己負担がありますね。普通はサービスにかかったお金の1割です。所得が一定以上あれば2割負担になります。残りの部分が「お財布」です。ここから出ていくお金を介護給付費といい、半分は税金から用意します。あとの半分は保険料、つまり介護保険のために特別に集めるお金で賄うことになっています。

保険料って?

この保険料には2種類あります。一つが「第1号保険料」で、実際に介護サービスを使う65歳以上の加入者が住んでいる市町村に払います。年金をもらっている人は天引きされています。もう一つの「第2号保険料」は、40歳から64歳までの人が健康保険料と一緒に払っています。このお金はいったん全国でプールされた後、介護給付費の約3割という一律の基準で各市町村に配ります。

今回、とりあげるのは、65歳以上の人が払っている第1号保険料の方です。介護保険は、市町村が主体になって運営しています。東京では23区もそれぞれ独立した運営者。いくつかの市町村が集まって運営しているところもあります。保険料は、お住まいの市町村によって金額が異なります。

では、第1号保険料はどう決まるのでしょうか?

各市町村は、住民から第1号保険料を集めて、介護給付費の約2割を賄うことになっています。ざっくりいえば、まずどのくらい介護サービスが使われるのか予想して、それを65歳以上の人数で頭割りすれば平均の保険料(基準額)が出てきます。今回、マップでお示ししているのは、この「基準保険料」です。65歳以上のあなたが実際に払っている保険料と、マップに表示される基準保険料はおそらく違います。実際に支払う保険料は、年金や給料など所得が高い人には多く、低い人には少ない額が請求されるからです。

マップを使ってみよう

さて、今回、朝日新聞デジタルでご用意したのは、みなさんがお住まいの市町村の保険料(基準額)がすぐに分かるマップです。市町村をタップすると、今の2015~17年度(第6期)とその前の12~14年度(第5期)の保険料を示すボックスが開きます。マップの赤色は保険料が高い市町村ほど濃く、低いほど薄くなるようにしています。まわりと比べて、わがまちの保険料が高いのか低いのか、調べてみてください。各市町村の保険料が、全国で高い方から数えて何番目なのか、順位も分かるようにしました。操作方法については、デモ動画使い方をご覧ください。

マップを使ってみよう

さて、今回、朝日新聞デジタルでご用意したのは、みなさんがお住まいの市町村の保険料(基準額)がすぐに分かるマップです。市町村をクリックすると、今の2015~17年度(第6期)とその前の12~14年度(第5期)の保険料を示すボックスが開きます。ボックスを閉じてから、マウスでマップをなぞると、カーソルのある市町村の保険料がマップ上部に表示されます。マップの赤色は保険料が高い市町村ほど濃く、低いほど薄くなるようにしています。まわりと比べて、わがまちの保険料が高いのか低いのか、調べてみてください。各市町村の保険料が、全国で高い方から数えて何番目なのか、順位も分かるようにしました。操作方法については、デモ動画使い方をご覧ください。

かんたん検索 わがまちの介護保険料※1

2012~14介護保険料
平均4972円
2015~17介護保険料
平均5514円
高齢化率
平均26.8%
2012~14介護保険料
平均4972円
2015~17介護保険料
平均5514円
高齢化率
平均26.8%
介護保険料が安い
介護保険料が高い
 
  • 東京都千代田区
  • 2015~2017年介護保険料
  • 5700円
  • 568位/1741位中
  • 5700円
  • 568位/1741位中
 
最安値:鹿児島県三島村
2800円

2015~17年度保険料の平均:5514円

最高値:奈良県天川村
8686円

※お使いの環境によって、正しく表示されない場合があります

※2012~2014年度のマップは「第5期の第1号保険料基準額」、2015~2017年度のマップは「第6期の第1号保険料基準額」、高齢化率マップは2015年10月1日時点の推計値を元に作成。いずれも厚生労働省集計「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」より

何がわかる?

さて、わがまちの保険料水準はいかがでしたか?

それぞれの自治体のお年寄りが、サービスをたくさん使えば負担する保険料は高くなるし、ちょっとしか使わなければ安い。介護保険はそんな仕組みになっています。

基準保険料は、「高齢者のうち介護が必要な人の割合はどのくらいか」(要介護認定率)、「1人あたり、どのくらい介護サービスを利用しているか」(1人あたりサービス利用額)という二つの要因のみによって差が生まれるようになっています。人口が多いか少ないか、お年寄りの数が多いか少ないか、お金持ちが多いか少ないかは影響しません。

このような仕組みにすることで、「住民がたくさんサービスを使っている市町村では、保険料がより高くなるんですよ」という関係を見えやすくしているのです。

保険料の低い自治体、高い自治体保険料ランキング

高齢化率ランキングに切り替える 介護保険料ランキングに切り替える
※保険料の値は2015~17年度の
第1号保険料基準額です

保険料基準額の
低額保険者ランキング

順位 自治体 保険料
1 鹿児島県三島村 2800円 マップで見る
2 北海道音威子府村 3000円 マップで見る
3 北海道中札内村 3100円 マップで見る
4 福島県檜枝岐村 3340円 マップで見る
5 北海道興部町 3500円 マップで見る
5 北海道平取町 3500円 マップで見る
7 北海道登別市 3700円 マップで見る
7 北海道奥尻町 3700円 マップで見る
7 北海道遠軽町 3700円 マップで見る
7 千葉県四街道市 3700円 マップで見る

保険料基準額の
高額保険者ランキング

順位 自治体 保険料
1 奈良県天川村 8686円 マップで見る
2 福島県飯舘村 8003円 マップで見る
3 奈良県黒滝村 7800円 マップで見る
3 岡山県美咲町 7800円 マップで見る
5 福島県双葉町 7528円 マップで見る
6 福島県三島町 7500円 マップで見る
6 福島県大熊町 7500円 マップで見る
6 福島県葛尾村 7500円 マップで見る
9 青森県三戸町 7450円 マップで見る
10 福岡県介護保険広域連合(Aグループ) 7369円 マップで見る

※福岡県介護保険広域連合(Aグループ)に含まれる自治体は福岡県田川市、糸田町、川崎町、大任町、福智町、香春町、赤村、東峰村

高齢化率の
低い自治体ランキング

順位 自治体 高齢化率
1 東京都小笠原村 12.4% マップで見る
2 千葉県浦安市 14.6% マップで見る
3 東京都青ヶ島村 15.2% マップで見る
4 愛知県長久手市 16.1% マップで見る
5 東京都中央区 16.9% マップで見る
5 愛知県みよし市 16.9% マップで見る
7 埼玉県戸田市 17.0% マップで見る
8 埼玉県和光市 17.1% マップで見る
8 沖縄県豊見城市 17.1% マップで見る
10 沖縄県宜野湾市 17.3% マップで見る
10 沖縄県浦添市 17.3% マップで見る
10 沖縄県西原町 17.3% マップで見る

高齢化率の
高い自治体ランキング

順位 自治体 高齢化率
1 群馬県南牧村 60.9% マップで見る
2 長野県天龍村 58.3% マップで見る
3 高知県大豊町 57.4% マップで見る
4 群馬県神流町 56.8% マップで見る
5 徳島県上勝町 55.5% マップで見る
6 奈良県川上村 55.4% マップで見る
7 長野県大鹿村 54.4% マップで見る
7 奈良県東吉野村 54.4% マップで見る
9 島根県知夫村 54.2% マップで見る
10 高知県仁淀川町 53.9% マップで見る

全国で介護保険料(基準額)の低い順と高い順に、並べてみました。

一番安い鹿児島県三島村は、本土から40~50キロ離れた三つの島で構成されています。人口は約400人。NHKの番組で「海外から移住希望が殺到した島」として紹介されたことがあります。

役場に電話すると、民生課の担当者が説明してくれました。「村内に民間の介護事業者はいません。村がヘルパーを雇っていますが、訪問介護を受けているのは1-2人です。特養などの施設もなく、必要なら本土の施設に入っています」と話してくれました。

一方、一番高い奈良県天川村。第6期の保険料が一気に1.8倍も上昇したことについて、「病気やけがなどで施設へ入所する人が急激に増えた」ことや、基金(貯金)を使い果たしたことが理由とホームページで説明しています。

ただ、気になる点があります。厚生労働省の地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で調べてみると、確かに三島村の人が介護保険を使う額は天川村の6割程度と少ないのですが、本来、介護の費用を賄うのに必要な保険料は5696円となっていました。現在の保険料2800円の倍以上です。今後、天川村と同じように、保険料が一気に値上げされる可能性があります。「わが町」の介護保険の詳しい中身を知りたい方は、厚労省のサイトもご覧になってください。

保険料の高いところでは、原発事故で大きな影響を受けた福島県相双地域の町村も目立ちます。帰還困難区域に住んでいた人などには保険料や自己負担分を減免する特例がありますが、これがなくなったら払えない人が急増するのではないかと心配する声もあります。

介護保険料の推移(月額)

※介護保険料の推移は、厚生労働省集計「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」のデータを元に作成

これからどうなる?

介護保険は2000年度にスタート。それから3年に1度、保険料が変更されてきましたが、どんどん高くなっているのが上のグラフを見ると分かります。理由は簡単で、使われる介護サービスの量がどんどん増えているから。2000年度は3.6兆円でしたが、今の2015~17年度は10.4兆円が見込まれています。背景には、お年寄りの数が増えていることがあります。介護サービスを使うのは75歳以上の後期高齢者が多いのですが、スタート時では900万人だったのが、今や1600万人を超えているのです。団塊の世代が全員75歳以上になる25年度には、保険料は今よりさらに5割ほど増えて8千円を超すと見込まれています。

今の介護サービスを維持したり、充実させたりするには保険料を引き上げる必要があります。しかし、その負担は実額で示されていてわかりやすく、また年金から天引きされることから年金額との比較で「もう引き上げは限界だ」という声も強くなってきました。どうすればいいのでしょうか?

いま、介護保険の元締である厚生労働省は、保険料の引き上げ額を抑えるため、介護保険の「お財布」から出て行くお金をできるだけ少なくしようとしています。介護保険を使うための条件を厳しくしたり、保険の対象となるサービスを減らしたりすることを検討しています。利用者の自己負担を増やすことも考えられます。ただ、あまりやりすぎると、「せっかく保険料を払っているのに、全然使えないじゃないか」という不満が高まりかねません。

どうやって、「お財布」に必要なお金を入れ続けるのか。そのお金の元手は保険料なのか、税なのか。誰が払うのか……。せっかく作った制度を維持するために、これからも様々な議論が行われていきます。その土台となるのが、「わがまちの保険料」なのです。

【取材】海東英雄、坂本真子、友野賀世、浜田陽太郎

【制作】吉川晋作

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