げんげの花
■「げんげの花」:8 「弾力と歯ごたえのあるこんにゃくこそ、うまいこんにゃくと言われてきました。リクエストは、まさに真逆の発想を求められたのです。正直、困りました」 群馬県下仁田町のコンニャクメーカー「茂木食品工業」の茂木進社長(55)の口から、こんな言葉が飛び出した。なる…[続きを読む]
■「げんげの花」:7 前回のこのコラムで、認知症だった母(昨年、85歳で死去)が徘徊(はいかい)したときの経験談を書いた。認知症やその疑いがあり行方不明になる人は全国で年間約1万人もいる。先日、1月14日付の朝日新聞「天声人語」に、お年寄りの爪に小さなQRコードを貼ってもらい…[続きを読む]
■「げんげの花」:6 ちょっと前のことだ。日曜日の夕方、自転車に乗り、さいたま市にある自宅近くの交差点で、信号待ちをしていた。すると、向かい側に自転車に乗ったおじいさんがやってきて信号で止まった。服装は上下ともパジャマ。足にはサンダルを履いていた。初冬の夕暮れ時。そんな格好で…[続きを読む]
■「げんげの花」:5 「浅野さんの『げんげの花』は、今後も継続されますか?」。デジタル編集部で、この介護ページを担当する同僚から、つい先日、こんなメールが届いた。「やっばり、来たか」「うーん、どうしたものか?」。メールを読みつつ、思案した。 「げんげの花」は今年3月から始め…[続きを読む]
■「げんげの花」:4 いっこうに収束しない熊本地震。6月13~15日にかけて、熊本県益城町にある避難所に行ってきた。避難しているみなさんの健康状態を知るのが目的だった。だが、母親(85)が認知症の私としては、認知症の人たちがどうなっているのか、気がかりだった。 取材期間中の…[続きを読む]
■「げんげの花」:3 先日、施設に入っている母親(85)を見舞った。認知症で要介護度「4」、施設に入って5年目になる。 訪ねたときはちょうどお昼時。食堂では入所のお年寄りたちが思い思いにお昼を食べていた。母のそばによると、おかずの皿はほとんどなく、おかゆとみそ汁が少し残って…[続きを読む]
■「げんげの花」:2 「8月1日 午前は色画用紙でちぎり絵を作りました」 「6月23日 午後はおはじきで盛り上がりました」 「2月11日 おやつはまったく手をつけられませんでした」 こんな手書きの記録がしるされた冊子がある。かわいい布カバーをあしらった表紙や書かれた連絡…[続きを読む]
■「げんげの花」:1 「私の母は認知症で……」。こう書き出すつもりが、様相が変わってしまった。母の介護をしていた父がつい先日、亡くなってしまったのだ。 85歳の母は8年前、アルツハイマー型の認知症と診断された。今は介護施設で暮らす。じょじょに要介護度も上がり、現在は「4」。…[続きを読む]