|
10月に87歳で亡くなった作家で文化勲章受章者の丸谷才一さんの「お別れの会」が27日夜、都内のホテルで開かれ、作家や出版関係者ら約300人が出席した。
フランス文学者の菅野昭正さんがあいさつし、「自然主義文学の素朴なリアリズムを乗り越えないといけないと思っていた。世界文学の伝統と現代の問題を統合しようと考え、一貫してその道を、ひるまず晴朗闊達(かったつ)に歩んできた」と、故人の日本文学への功績を振り返った。
湿っぽいのが嫌いでユーモアを愛した丸谷さんにならい、作家の瀬戸内寂聴さんが「食通といってたが、自分で料理したアワビはおいしくなさそうだった。私が死んだらあいさつしてもらおうと思っていた。弔辞の名人ですから」と語り、会場をわかせた。
偶然知り合って数年前からたまに食事をしていたという俳優の山崎努さんは「ある時、君は芝居をやりなさい、芝居に義理があるだろうと叱られた。丸谷さんから義理という言葉を聞いたのは意外だったが、繰り返し言われた。丸谷さん自身、最後まで文学に義理を果たしていったんだと思う」と思い出を語った。
音楽好きだった丸谷さんのために、ピアニストの高橋悠治さんがモーツァルトのロンドイ短調(K511)を演奏した。