【津田六平】昨年、建て替えのため取り壊された、焼き鳥店「いせや公園店」。東京都の井の頭公園の入り口にあり、立ち上る煙と香り、木造店舗は吉祥寺の「顔」だった。この跡地を発掘したら、なんと約1万5千年前の「焼き場」が見つかった。私たちの祖先もここで鳥を焼いて食べていたかもしれないのだ。
およそ1万5千年前といえば、後期旧石器時代の末期。石器を使い、狩猟や採集で暮らしていたとされるころだ。
もちろん、いせやが開いていたわけではない。創業は85年前。精肉店から立ち飲みを中心とした焼き鳥店に衣替えし、安くてうまいと評判を呼んだ。公園店は、2号店として1960(昭和35)年に営業を始めた。
それから半世紀余りたった昨年7月、昭和レトロな木造2階建ての店は老朽化のため休業し、その後、取り壊された。同じ場所に地下1階地上2階建ての新店舗を作るためだ。
店の周辺は井の頭池遺跡群と呼ばれ、埋蔵文化財包蔵地に指定されている。跡地を武蔵野市教育委員会が試掘したところ、遺構などが確認され、昨年10〜11月に発掘調査をした。
市教委によると、旧石器時代のものと考えられる「礫(れき)群」が4基発見された。拳ほどの大きさの石が集まっている遺構で、火を使った調理場だとみられている。焼けたような石や炭化物も出土。石をたき火で熱し、動物の肉を焼いたり蒸したりしていたらしい。
「いせやのあった場所で、旧石器時代からバーベキューをしていたみたいです。当時もおいしかったはず」と話すのは市教委の文化財指導員、紺野京さん。店で焼き鳥を絶え間なく焼いていた店頭付近から出土が集中していて、大昔から「焼き場」の好位置だったようなのだ。
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朝日新聞社会部