面接官用に作成された内部文書。この年初めて導入された「場面指導」の考査に関する詳細な記述があった
06年9月にあった北海道の教員採用試験で、面接官用の資料が事前に一部の受験者に流出し、合格者が出ていたことが朝日新聞の調査でわかった。資料は質問例や評価ポイントなどを詳述し、事前に知っていれば高評価が得られる可能性が高い。札幌市教委は不正な漏洩(ろうえい)の疑いが強いとして面接官を務めた校長らへの調査を始めた。
流出したのは「個別面接検査の実施方法について」と題された文書4枚。札幌市教委と北海道教委が共同でまとめた。流出が確認されたのは市教委発行分。試験の10日前に面接官を務める校長らに配られ、回収は試験終了後だったという。
朝日新聞が入手したコピーを札幌市教委に照会したところ、06年の小中高校の教員採用試験のものと同一であることがわかった。文書は面接の時間配分と流れを記述。受験者に対し、教育実習時の生徒指導で努力した点を必ず質問するよう求めている。
この年の面接では、教育現場での事例を挙げてどう対応するかをみる「場面指導」の考査が初めて導入された。受験者の間では「合否の分かれ目になるかもしれない」と関心が高まっていたという。資料はこの「場面指導」について面接で割く時間を7分間とし、「遅刻を繰り返す児童生徒にどう指導するか」といった例を示している。
「目の前に本人がいると思って教師になり切って」「1分間の考慮時間に入ってください」など面接官の具体的な言葉も記載。「児童生徒の状況を踏まえているか」「要点を明確にし、わかりやすく指導しているか」「原因追及や解決、改善に結びついているか」という三つの評価ポイントも示している。評価はA〜Eの5段階とし、A、C、Eを付ける場合の評価例も挙げている。
06年の個人面接は9月2、3日にあり、市教委は8月23日の説明会で、校長128人、指導主事16人にこの資料を配っていた。
この文書を試験前に入手し、合格して現在道内の公立中学に勤務する女性教諭は「出身大学の同期の友人からファクスで受け取った。その友人も合格した。友人がどこから手に入れたのかはわからない」「当時は内部文書だという認識はなく、今になって驚いている。一部の受験者に流出したのは公正ではないと思う」と話す。
道教委は「道と札幌市で採用活動は別だが、試験内容は評価基準も含めて足並みをそろえている。信じられない事態だ」という。札幌市教委は「何者かが漏洩したのは明らかで、事実が明らかになり次第、処置を講じる。二度と起きないよう再発防止策もとる」と話している。(神村正史)