2009年5月11日9時15分
高層ビルの大地震対策が本格的に動き出す。6月1日に施行される改正消防法で、事務機器の転倒防止やエレベーターに閉じ込められた人の救出計画策定などが義務づけられる。「長周期地震動」の被害をいかに防ぐかがポイントだ。マンションは今回は対象外だが、家具の固定など「屋内の震災対策」の重要性も指摘されている。
法改正の背景には、高層ビルの増加とともに「長周期地震動」の影響の深刻さが明らかになってきたことがある。
木造住宅などに被害を与えるガタガタとした1秒程度の周期の揺れと違い、長周期地震動は数秒以上の長いゆっくりした揺れが数分間も続く。巨大地震で発生しやすく、関東や名古屋、大阪など堆積(たいせき)層がある平野部で揺れが大きくなる。04年10月の新潟県中越地震では、震源から約200キロ離れた東京・六本木ヒルズのエレベーターのワイヤが切れた。前年の03年、北海道・十勝沖地震では、石油タンクが揺れて火災を起こした。
防災科学技術研究所が南海地震を想定して実験したところ、固定化などの対策をとらないと、オフィスではキャスターつきの重いコピー機が、リビングでは重いテレビが、室内を動き回った。数分間に及ぶ揺れで「人命の危険が示される重大な被害」が起きると結論づけられた。
05年3月の福岡県西方沖地震後の東京消防庁の調査でも、高層階ほど家具の転倒などによる被害が大きいことが確かめられた。
国土交通省によると、21階以上の超高層ビルは01年度以降、毎年80〜100棟のペースで着工されている。
今回、高層マンションは「住宅部分まで適用するのは厳し過ぎる」として対策義務づけの対象外となった。内閣府の調査では、地震に備えて家具などの固定をしているのは4世帯に1世帯。内閣府の池内幸司参事官は「家具固定化による減災の効果は大きい。寝室など危険が高い所から固定を進めてほしい」と普及を図る考えだ。