2009年5月21日18時57分
不快音発信装置「モスキート」を手に解説する松木洋介社長=千代田区
公園事務所のシャッターがぼこぼこにされ、ガラス窓も割れた=昨年3月、東京都足立区の北鹿浜公園、区提供
真夜中の公園で騒ぐ若者たちを高周波の音で近づかせない実験を、東京都足立区が21日から始める。若者だけに聞こえる「モスキート音」と呼ばれる不快音を夜中から未明にかけて鳴らす。足立区は「無差別に若者を立ち退かせる方法には批判もあると思うが、苦渋の選択だ」という。
「モスキート音」は、若者しか聞こえないとされる18キロヘルツ前後の高周波発信装置の音。蚊(英語で「モスキート」)のように「キーンキーン」と耳障りな甲高い音がすることから、名付けられた。
20歳前後をピークに聴力が徐々に低下する「老人性難聴」の症状を利用したもので、中高年には聞こえない。街にたむろする若者を追い払うため、英国の科学者が装置を開発。英国のメーカーが06年に商品化した。
足立区がこの装置を使って実験するのは、被害が深刻な「北鹿浜公園」。周辺住民から「騒音で眠れない」と苦情が相次ぎ、昨年度は事務所の窓ガラスが割られたり、トイレの便器が壊されたりした。区内約470カ所にある公園の被害額約300万円のうち、この公園の被害が約70万円を占めたという。
夜間に巡回する警備員が、トイレットペーパーに火を付けていた若者の集団を目撃。防犯カメラも深夜、カメラを壊そうとする若者の姿をとらえている。
対応策として装置の導入が浮上し、区公園管理課は半年間議論を重ねた。「若者を排除するような装置を、自治体が率先して導入していいのか」という意見もあったが、「憩いの場のはずの公園が、安眠を奪う迷惑施設になってはいけない」(増田治行課長)と導入を決めた。
21日から、事務所と公衆トイレがならぶ施設の付近に発信装置をとりつけ、毎日午後11時から翌午前5時まで鳴らす。様子をみて、本格的な導入を検討するという。(須藤龍也)