2009年6月15日5時15分
胸を広げるチェストオープン
体を左右に曲げるサイドベンディング
ひじで反対のひざをさわるエルボータッチ
腰を落として拳を突き上げるパワフル
国際協力機構(JICA)のシニア海外ボランティアとして、ヒマラヤにある小国ブータンで、国民体操を考案した名古屋市守山区の元高校教諭杉原直(ただし)さん(73)。今、県内でこの体操の普及を図っている。
考案したのは「アパアマ体操」。アパはお父さん、アマはお母さんを指す。1番から3番まであって、計約8分間。胸を広げるチェストオープンや、左ひじで右ひざ、右ひじで左ひざを交互にさわるエルボータッチなど34の運動をこなす。
杉原さんは、保健体育教諭として市立菊里高校などに勤務し、定年退職後は日本語教師の資格を取って、中国・重慶の大学で2年間、日本語を教えるなどしてきた。
ブータンに派遣されたのは05年10月から2年間。同国が小中学校の授業に初めて体育を採り入れるのに備えて、教員を養成するためだった。西部の町・パロで一人暮らしをしながら、教員養成所の学生のべ24人を指導した。
最初の1年間は、学校のグラウンド整備や、縄跳びなどの教材づくりに追われた。「鬼ごっこ」「体力づくり」などの英語の教科書も4冊作った。ところが、日本のラジオ体操のように、授業前のウオーミングアップに適した体操がない。任期2年目は、親しみやすく覚えやすい国民体操をつくることに集中した。
振り付けたのは、ブータンで歌われている軽快な民謡「アパアマチャーモ」(父さん母さんいるか)。
体を曲げる、ねじる、回すなどの運動を無理なく入れて、顔から指先まで全身を使うように留意した。「ラジオ体操の時代より、体操理論は進んでおり、緊張とリラックスが交互になるようにメリハリをつけた」と杉原さん。
学生に演奏と歌を頼み、テレビ局が収録した。現地でカセットテープ400本とCD200本を製作した。杉原さんが一昨年秋に帰国後も、教師になった学生らがブータン各地で普及にあたっているという。