2009年6月29日8時18分
東京都心のJR飯田橋駅近くの外堀のボート場。オーナーの羽生裕子さん(56)は2年前から、ここを「ホタルの飛び交う場所にしたい」と取り組む。外堀の水が流れ込む神田川と日本橋川流域の人と一緒に水の浄化活動をしながら、お堀育ちのホタルが見える日を待ち望んでいる。
羽生さんは、外堀の一角にある牛込濠(ぼり)でボート場を併設するレストラン「カナルカフェ」も経営する。中央線の車窓からもよく見える場所だ。実家は、祖父が約90年前に始めたこのボート場の真上にあった。
子どもの頃の牛込濠は、豊かに茂る水草がたくさんの小魚やエビを育み、鳥も多く集まった。夏の夕べにはボートに乗って涼みながら、飛び交うホタルを見て楽しんだ。
「あの風景を取り戻したい」。2年前、千代田区の企業や住民らがつくるNPO法人「日本橋川・神田川に清流をよみがえらせる会」が、両方の川に水が流れ込む牛込濠の水をきれいにしたい、と活動を始めると、羽生さんはすぐに参加した。
いずれホタルを堀に放す日を夢見て、羽生さんはボート場事務所の水槽で、ホタルの幼虫のえさになるカワニナ約400匹の繁殖を始めた。
会は、水質浄化に取り組む活動をしている。水がきれいになったと感じた今春、羽生さんは堀に浅瀬をつくり、カワニナを放ってみたら、堀の水で育ち始めた。
「そろそろか」と4月末、ヘイケボタルの幼虫200匹を放つと、今月1日には、羽化して、白く光る念願のホタルを初めて見つけた。「成虫と交配して卵を産んでほしい」と願って、19日には、成虫200匹を放った。
「来年は、お堀育ちのホタルが飛び交ってほしい。そのためにも、ホタルが自然に育つ環境にしなくちゃ」。羽生さんは、そう話している。(豊吹雪)