2009年7月2日15時0分
全国400カ所に設置されている震度計のメーカーが、不採算を理由に事業から完全撤退することを決め、一部の震度計は保守点検が不十分で震度を正確に測れない状態で放置されていることが、朝日新聞の調べで分かった。昨年7月の岩手県沿岸北部地震で、最大震度が取り消された岩手県洋野町の震度計も、このメーカーの製品だった。設置した8県は別メーカーの製品に取り換えるなどの対策に乗り出した。
全国の自治体が設置する震度計は約2800台ある。今回の震度計は大手通信機器メーカーの沖電気工業(本社・東京)の製品。岩手、山形、山梨、富山、岐阜、島根、鳥取、佐賀の8県が約400台設置している。同社によると、「需要が少なく採算が取れない」として05年、震度計の製造や販売を中止。「今後は点検や修理、部品の交換はしない」とする通知を、8県の知事あてに出した。契約が切れた震度計は保守点検をしていないという。
岩手県沿岸北部地震で、発生時に「最大震度6強」を記録しながら、その後に取り消された岩手県洋野町の震度計も、05年の点検が最後だった。この震度計は、設置した台座部分が地面から浮き上がり、揺れを正しく観測することができない状態だったことが分かっている。
しかし、沖電気から通知を受けた岩手県は、同社が点検をしなくなってからも現地の点検をしなかった。電話回線を使った遠隔点検はしていたが、震度計の設置状況までは把握できず、悪条件で放置されていることに気づかなかったという。
岩手県は「県としての点検は4年に1回だった」と説明している。
同社製を42台設置する山形県では昨年6月、白鷹町の震度計が壊れ、沖電気に修理を依頼したが、修復するまで4カ月かかった。その間、震度の観測は中止した。県は「『修理のための部品がなく、代替機もない』と説明された」という。
64台を設置する山梨県は、沖電気から今年度以降は保守点検の年間契約が結べないと通告された。「部品がなければ修理ができないこともある」とも伝えられた。
更新を決めた佐賀を除く7県は、いずれも「故障しても修理できないなら、別のメーカーに替えるしかない」と、早期の更新を検討している。(神崎卓征、大久保泰)