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移植医療「生と死に寄り添う議論を」 柳田邦男さん(1/2ページ)

2009年7月3日4時41分

写真:参院厚生労働委員会で意見を述べる柳田邦男氏=2日午後、国会内参院厚生労働委員会で意見を述べる柳田邦男氏=2日午後、国会内

 「移植医療とは、一人ひとりの死をどうとらえ、どう見守っていくのかということ」。作家の柳田邦男さん(73)が2日、臓器移植法改正案を審議する参院厚生労働委員会で参考人として質疑に応じた。脳死状態を経て亡くなった次男の腎臓を、移植のために提供した経験をもつ。臓器を提供するドナーや家族と、提供を受ける患者や家族。それぞれの生と死に寄り添う議論の必要性を訴えた。

 柳田さんは厚生労働省の「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」のメンバーだ。「一例一例見てきて、現実に起こっていることをベースに」と切りだした。

 検証会議は、同法に基づく臓器提供事例81例のうち50余例を検証し、公表してきた。A案を可決した衆院で、こうした検証結果に関する議論はほとんどなかった。柳田さんはまず、「重要な部分が一度も議論されなかったことに大変驚き、懸念を感じた」と国会審議のあり方を批判した。

 そのうえで、「移植が始まって10年にして、かすかに見えてきたのがこういうこと」と、ドナーの家族が置かれた厳しい状況を説明した。

 ドナーと遺族の姿が公になることは少ない。柳田さんは「臓器提供を誇りに思い、生きる支えにしている家族がいる一方、心的外傷をひきずる家族の両方がいる」。家族のケアの必要性への社会的認識が遅れていると指摘する。

 柳田さんの次男が臨床的に脳死と診断され、亡くなるまでの間、その25年間の人生を思い、家族のきずなを考えたことが、かけがえのない経験になったという。移植医療のみとりでも、「時間的ゆとりが極めて重要」と訴えた。

 現行制度は脳死を一律には人の死としていない。「ダブルスタンダード」とも指摘される。柳田さんはそのことを否定しない。「一人ひとりの人生と死生観を大事にするという意味では、こうしたダブルスタンダードこそが、新しい文化のあり方であり、日本が伝統的にもっていたあいまいさの良さを残すものだと思う」と述べた。

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