【机美鈴、中林加南子、丸山ひかり】家族の介護は家族で――。超高齢社会を迎えた今、そんな風潮が再び強まりつつあるように見える。結婚や出産、就きたい仕事。若い世代、とりわけ女性が、家族の介護のために支払う代償は小さくない。
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「ここは、牢屋だわ」
埼玉県のグループホームで暮らす母(66)がつぶやく。その言葉を聞くと、病院職員の女性(37)は胸が苦しくなる。「もっと頑張るべきだったのでしょうか。でも、もう限界だった」
父が急死して3年、母は59歳で若年性認知症になった。離婚して実家に戻ってすぐ、女性は、冷蔵庫にキャベツを何個もためこむ母の異変に気づいた。同居の兄は結婚を機に家を出たが、デイサービスやショートステイをフル活用し、ひとり介護を続けた。
恋人ができた時期もあったが、続かなかった。デート中にデイサービスの職員に呼び出されたり、夕飯を作るために午後5時に帰宅せざるを得なかったり。「シンデレラみたいだった」
5年間奮闘したが、母の妄想や暴言は激しさを増した。ヘルパーの人繰りもつかなくなり、2年前、やむなくグループホームへ。ただ体力のある母は外出も大きく制限される暮らしになじめず、時折「生きていても仕方ない」などと口にするようになった。