【奈良部健】リヤカーを引きながら、6月に世界一周を果たした男性がいる。この「リヤカーマン」を支えたのが、名古屋市の老舗タイヤメーカー「井上ゴム工業」だ。小回りが利くリヤカーは、経済的で環境に優しいと都市部で見直されており、タイヤの新たな市場もうまれている。
リヤカーで世界一周に成功したのは、鳥取市の吉田正仁さん(32)。2009年1月に単独で中国・上海を出発し、ユーラシア大陸を横断。北米や豪州をへて、東南アジアを北上した後、今年6月9日に上海に到達した。約4年半、約4万キロの旅路だった。
「バスや電車では素通りしてしまう小さな村を訪れ、そこで暮らす人たちと出会いたい。衣食住の全てを運ぶのに最も適していたのがリヤカーだった」。吉田さんは、零下20度のブルガリア山中で凍傷を負って入院。無人の砂漠250キロを、水と缶詰を頼りに5日間で越えた。