スポットライトを浴びた美少年アイドルたちが踊り、歌う。客席を埋める10代の女の子たちが、悲鳴にも似た声援を送る。
プロデュースするはなわさんに聞くよくあるライブ風景だ。ただ、ステージのアイドル8人は、いずれも男装した10〜20代の女性だ。
13日、福岡市のライブハウスで、男装アイドルユニット「風男塾(ふだんじゅく)」の公演があった。2008年デビューの「彼ら」のファンは最近、中高生女子を中心に増えている。この日も観客の3分の2が女性で、地元の高校の制服姿の子もちらほら。
「カッコいいからいいんです! 男装とか気になりません!」。熊本県合志市から来た高1の草野日菜子さん(15)は、風男塾のメンバーに会え、興奮気味だ。「だって、同級生にも男装する人いるし!」
自ら男装して来た子もいた。地元の高3の津田千秋さん(17)もその一人。赤い短髪のウィッグの下に長い黒髪を隠している。ふだんから時々男装を楽しむという。風男塾を知る前から、男装には好印象をもっていた。男装した画像をツイッターに載せる女性をフォローし、「ふつうにカッコいいな」と思っていた。「カッコよければ、男装でも全然アリ」と話す。
男装は、10代にとっては一部のマニアのものでも、「イタい」ものでもないようだ。
10代向けのファッション誌「セブンティーン」(集英社)は、11年11月号で専属モデルの男装コンテストを企画。編集部の渡辺賢介さんは「予想以上に好評だった」という。読者投票で1位になった西内まりやさん(19)はその後、テレビのバラエティー番組にも男装で出演した。渡辺さんは「今の10代にはオタクが一般化し、コスプレに抵抗がない。男装も同じような遊び感覚ですんなり受け入れているようだ」と話す。
同じようなコスプレ感覚で、韓国の男性アイドルをまねた男装女子も出現している。
「男装写メ」もブームだ。男に見えるように髪形や顔の角度を工夫して携帯電話で写真を撮り、友だちと見せ合う。
7〜8年前に登場した「男装喫茶」でも10代の客が増えているという。男装した店員を男性に見立て、「男女の会話」を楽しむ店だ。東京・池袋の「80+1」は、客のほぼ半数が10代女性。店員10人はそれぞれ漫画やアニメの美少年をイメージした格好だ。
本物の男じゃダメなのか――。