知人に暴力団員の捜査情報を漏らしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反罪に問われた元富山県警警部補の加野猛被告(54)=懲戒免職=の判決が25日、富山地裁であった。田中聖浩裁判長は「警察への信頼を失墜させた悪質な犯行だが、捜査に実害はなく反省している」と述べ、懲役1年執行猶予4年(求刑懲役1年)を言い渡した。
加野元警部補は2010年に富山市で起きた会社役員夫婦殺害事件でも逮捕されたが、富山地検が24日に「自白と証拠が矛盾しており、嫌疑が極めて不十分」として不起訴処分とした。元警部補は拘置施設に勾留されていたが、捜査情報漏出事件の判決に執行猶予がついたことで25日午後に釈放された。元警部補は取材に「疑いを持たれたことは反省している」と述べた。
判決によると、元警部補は県警高岡署の留置管理係長だった昨年9月、留置場に差し入れに来た知り合いの男性に「署が暴力団員を逮捕しようとしている」と教えた。暴力団員は男性の知人で、実際に恐喝容疑で逮捕された。
一方、殺人事件は10年4月20日正午ごろに発生。富山市大泉のビル2階に住む会社役員の福田三郎さん(当時79)と妻の信子さん(同75)が絞殺され、放火された。
県警は捜査情報漏出事件で起訴された元警部補を昨年12月に再逮捕した。元警部補は殺害を認めたとされたが、地検は刑事責任能力を調べる約4カ月間の鑑定留置を経て今年5月にいったん処分を保留。捜査を続けたが、殺害方法や現場近くの防犯カメラの記録などと供述内容が矛盾し、「自白は信用できない」として起訴を断念した。遺族側は不起訴を不服として、近く検察審査会に審査を申し立てることにしている。(吉川喬)