宮城県女川町の役場仮庁舎が立つ高台の下から、女川港まで1キロ近く更地が広がる。かつては住宅や商店が軒を連ねたその一画で、ひとりの女性が、じっと足元を見つめて歩いている。自宅の庭で育てていた花の芽を探して――。
東日本大震災の津波で、2階建ての家は流された。60歳になる彼女が家族と20年を過ごした家だった。近所の友人も失い、しばらくは自宅跡に近づくのがしんどかった。
昨年6月、町総合運動場の避難所から仮設住宅に移った。花が咲く季節だった。自宅跡へ行ってみた。がれきの間から1本、すうっと緑の芽が伸びていた。