現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. その他・話題
  5. 記事

「チャート式数学」完全点訳 筑波技術大、無料提供へ

2009年9月13日15時0分

写真:完成した「チャート式中2数学」の点字版(30巻)と筑波技術大の長岡英司教授=茨城県つくば市の同大完成した「チャート式中2数学」の点字版(30巻)と筑波技術大の長岡英司教授=茨城県つくば市の同大

写真:点訳された図の一例。実際は白色だが、立体感を出すために照明を当てて撮影した=中村写す点訳された図の一例。実際は白色だが、立体感を出すために照明を当てて撮影した=中村写す

 市販されている中高生用の数学参考書の完全な点訳を、筑波技術大学(茨城県つくば市)の長岡英司教授(情報処理教育)らのグループが完成させた。全部で290巻、約2万2千ページに上る。これまで点字化が難しかったグラフや図も掲載しているのが特徴。数学参考書の完全な点訳は例がないという。

 近く希望者に無料で提供を始める。視覚障害を乗り越えて進学を目指す中高生の大きな後押しになりそうだ。

 点訳したのは、中高生がよく使う「チャート式数学」(数研出版)。各学年版の計6冊を、長岡教授と首都圏の六つのボランティア点訳グループ約90人がほぼ1年がかりで点訳した。

 同大は視覚、聴覚障害者のための国立大学で、「数学を苦手に入学してくる学生が多い」(長岡教授)ことから、作成を思いついたという。

 長岡教授によると、理数系の文書を点訳する場合、グラフや図形が問題になる。立体図形や関数グラフなど複雑な図を、大きさの異なる3種類の点を使って指で触れて読み取れるように表現しなければならない。文章だけの翻訳と異なり、6グループが同じルールで図や数式を点訳しないと、利用者が混乱する恐れがあったため、研修を繰り返しながら、点の間隔を変えて指が感じる刺激を調節したり、図をうまく簡略化したりして作業を進めた。

 厚生労働省によると、18歳未満で視覚障害のある人は全国で約4900人(06年)。一般の学校で学ぶ生徒もおり、完全な数学参考書が待たれていた。長岡教授は「大学進学を目指す中高生だけでなく、数学力を高めたい大学生や社会人にも広く活用されることを願っている」と話す。

 同大は完成した点字版参考書を希望者に無料で提供する。電子データでも配布し、点字用プリンターがあれば出力が可能だという。問い合わせは電子メールで、同大視覚障害系支援課の小野瀬正美(おのせ・まさみ)係長(onose@k.tsukuba-tech.ac.jp)へ。(中村浩彦)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内